「大岡越前」キャストとの豪華ゴルフコンペも 里見浩太朗が明かす「水戸黄門」秘話…「撮影の合間にご老公や弥七と将棋のトーナメントをしていましたね」
「格好のいい啖呵の切り方ってあるかい」
それから、ああ見えて東野さんは、もの凄く負けず嫌いなんです。ロケに行って、僕らがはしゃいで小川を越え田んぼの畦道に飛び降りたりすると、とうに還暦を過ぎている東野さんもやろうとする。「ご隠居はやめた方がいい」と言っても譲らず、ちょっと低いところから跳んでみたりね。まあ、負けず嫌いで、お茶目なお爺さんでした。 《そんな東野黄門様が、二回り以上も年下の里見さんに教えを請うていたことがあった》 時代劇には独特の所作がありますよね。ドスの抜き方、煙管の吸い方から博打場での壺の振り方まで……。新劇出身の東野さんはそういう経験がないから、全部僕に聞くんですよ。僕は、20歳から東映時代劇に出演して、色々な方に教わり、自分でも演じてきましたからね。 たとえば、東野さんが何とかの八右衛門という大泥棒に扮する時などに、「格好のいい啖呵の切り方ってあるかい」なんて聞いてくるんです。僕も、中村錦之助さんら諸先輩に教わったり、芝居を見て盗んだりしたことなんですがね。 《もう一つ、助さんがご隠居に指南したことがある》 第4部か第5部の頃でしようか。僕がゴルフを勧めたら、60代半ばの東野さんが結構ハマってしまった。ある時、「100を切れたよ、浩ちゃん」と嬉しそうに言っていましたから、相当練習もされたのでしょう。毎年お正月には、必ず箱根でのゴルフに招待してくださいました。
豪華! 「水戸黄門・大岡越前合同コンペ」
月曜夜8時の「ナショナル劇場」では、当初「水戸黄門」と「大岡越前」を交互に放送していましたから、「水戸黄門・大岡越前合同コンペ」もよくやりました。 黄門側は東野さんと僕と「かげろうお銀」役の由美かおるさん、「風車の弥七」の中谷一郎さん、「うっかり八兵衛」の“元ちゃん”高橋元太郎さん。大岡越前からは主演の加藤剛さん、「榊原伊織」の竹脇無我さん、「猿(ましら)の三次」の松山英太郎さん、そして「徳川吉宗」役の山口崇さん。一番上手かったのが、猿の三次で、二番目が吉宗公、僕はその次くらいかな。 スタッフも入れて50人くらいのコンペですが、ご老公の“鶴の一声”で、僕と元ちゃんが幹事をやらされましてね。ブランド物のバッグやら何やら賞品を購入するのに、女店員さんたちの不審のまなざしに耐えながら一日中デパートをうろうろしたものです。 一方、撮影の休憩時間は、将棋でした。ゴルフと違って将棋は全員が指せましたから。トーナメント表を作って、今日の昼休みはご老公と弥七。夜は弥七と助さん。翌日は助さんと八兵衛といった具合。それを皆で観戦する。東野さんも強かったですが、一番は中谷さんでしたね。