全室露天風呂つき温泉ホテル「はつはな」が最高過ぎた…箱根の山を臨むハイエンドな宿泊体験
景色も味わうなら朝食が最高です。 食後に朝風呂に浸かるのもよし、浸かってから食べるもよし。 夕食と同じレストランでの提供です。 予想を覆すゴージャスな和食! 「本日は昼食すっ飛ばしてOK」な量です。 温かな豆腐から生野菜に至るまで、つい行儀悪く迷い箸をしてしまいます。 でも完全個室だから好きなように食べてよし。 重の蓋が箱根の伝統産業の寄木細工。 表面の貼り合わせでなく各パーツの立体が組まれた本格仕立て。 館内では各所で寄木細工を見られますので、訪問のさいは気にしてみてはいかがでしょう。 さて、今回の記事もそろそろ終了です。 この前編のあとは、館内全体を紹介する後編に続きます。 とその前に、食事システムそのほかサービスについて少し気になったことを言及しておきましょう。 はつはなは、11時(チェックアウト)~15時(チェックイン)までほぼ空洞化します。 レストランは閉まってますし、カフェもありません(フリードリンクと菓子提供のラウンジも機能せず)。 この時間帯に客が館内にいることがないとの想定なのでしょう。 長期滞在の人が昼食を食べたいと思ったら、自家用車がないならタクシーや送迎バスなどで箱根湯本駅に行くか、食事処を探しに出かけねばなりません。 (事前オーダーによる部屋出しの弁当やおにぎりのサービスはあり) 夜のルームサービスもなく、近隣に軽食を買えるコンビニやスーパーがないことは客が頭に入れておくべき点。 (事前オーダーによる夜食おにぎりサービスはあり) もっとも夜中に空腹にならず昼食もいらないほど、夕食と朝食の分量が多かったですが。 部屋に歯ブラシ、ひげ剃り、コーム類のアメニティがないのも知っておかないと困ることになります。 ゴミ削減を含むSDGs観点と説明されましたが、電力を含むコストと資源の余剰が膨れ上がるホテル経営でアメニティでの実現は微々たるものでしょう。 客もそこは承知で贅沢を味わうため泊まりに来ているはず。 「自分たちは取り組んでますよ」のアピールになるとしても、他のホテルと違い近隣に買える店がないここではちょっと違和感を感じました。 知らなかった客が「歯ブラシ持ってきてない!」と焦ったらどうすればいいのか疑問に思いました。 (チェックイン時にスタッフがアメニティ持参を確認し、持ってない人には提供するそうです) 間違いなくここはラグジュアリーな体験ができるホテルです。 とはいえサービスが過剰気味ないわゆる「ラグジュアリーホテル」とは方向性が異なるかもしれません。 サービスが限られるからこそ、コテージを借りるように積極的に施設を利用して“暮らす”場所。 ご自身が宿泊に求める条件と合致するなら(わたしのようにコーヒーを自分で淹れるのが好きとか)、笑顔の非日常に包まれる時間になるでしょう。
高橋一史|ファッションレポーター/フォトグラファー 明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
写真・文:一史