日本復活に「経済政策」は不要どころか、逆効果だ
少子化、移民政策を、経済政策として考えてはいけない。今目の前にいる、子供、学生、若者を大切に育てることである。 ■社会資本の蓄積を促す「6つの具体的な提言」 具体的な例を挙げていこう。以下は考え方を示すための政策の事例であり、個々の事例にはさまざまな賛否があろう。以下、ここで示したいのは、個々の問題に対する現象対応の具体的な政策の細部についてではない。 「社会資本の蓄積を促す政策によって、持続的な社会、経済発展を目指すという考え方に沿う政策とはこういうものだ」「こういう考え方で政策を立案するべきだ」、という考え方の提言であり、その事例である。
(1)新卒一括採用は効率的だが、採用プロセスの双方の効率性に走りすぎているから、何度か試行錯誤するプロセスを組み込んだほうがいい。また数年後、ほぼすべての若者が転職あるいは学校に行き直し、キャリアアップするような若年労働市場にすべきである。また、もし政府が経団連に圧力をかけるのではあれば、それは賃金アップではなく、新卒一括採用の全面的禁止である。「シューカツ」の撤廃である。これが短期景気対策の代わりである。低所得者への支援は経済対策ではなく社会政策として行う。
(2)義務教育の強化。高校・大学の無償化は一切止める。子供手当も廃止。つまり、現金バラマキは、一時的な支援になっても、それは社会的基盤にはならない。一時的な緊急避難的支援金は社会政策として、限定的に低所得者層に行う。良質な義務教育インフラは政府にしか整備できないものである。高校も大学も、行く価値のある質の高い教育を提供できるように、むしろ学費は値上げする。 東洋経済オンラインの記事「小学生時点の学力に影響を及ぼす『幼児教育の質』」(10月23日配信)にもあったが、無償化は教育の質を低下させる。
これはカナダのケベック州の20年の研究を待たずとも、考えればわかることである。タダより高いものはない。いいサービスにはそれに応じた対価を払う。それが払えない低所得者には支援をする。 ■学校教育にもっとお金をかけよ 日本は、学校教育への評価が低すぎる。学校側にも責任があるが、リソース不足、文科省などの書類仕事が多すぎて教育に時間を割けない、という問題もある。結果的に、日本はアジアでもっとも教育不熱心国となっている。教育には金をかける。政府も学校側に多様な人材を雇うための金、リソースの支援をする。教育をタダにするのではなく、金をかけても手に入らない良質な教育を提供する。