育成型クラブが求める選手の基準は? 将来性ある子供達を集め、プロに育て上げる大宮アカデミーの育成方法
なぜ大宮U18 は最高峰プレミアリーグで戦い続けられるのか?
――伸びる選手の共通項はありますか? 金川:他人の話を聞ける選手、考えられる選手というものが挙げられます。選手を見ていていつも感じるのは、どんな選手でも必ず壁にぶつかりますが、そのときにどのように振舞えるかがその後を左右します。自分の力だけで、あるいは自分を客観視しないで、向かうべき方向に行けるかといえば、難しいです。自分のことは自分ではなかなかわかりません。そのときに、コーチやスタッフの客観的な意見を受け入れるかどうか。 そのうえで、考える、咀嚼する。僕はよく「編み出す」という言葉を使いますが、自分で編み出せると、次の段階に進め、自分の経験・教訓となります。ただ言われたことをやるだけでは編み出すということになりません。受け取った情報を咀嚼して、必要な情報とそうではない情報を取捨選択でき、自分にとって良い方法を見つけて、実行する選手は伸びる感じがします。 ――大宮U18は高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグでの戦いが6年目になります。一昨年プレミアリーグEAST・2位だった横浜F・マリノスユースがプリンスリーグに降格するなど、難しいリーグだと思います。改めて、なぜ大宮U18 はプレミアリーグで戦い続けられるのでしょうか? 金川:そこには各カテゴリーの努力があります。これまでの6年間は、その6年間だけのものではありません。過去の十数年間(の指導・活動)が今に生きていることは間違いなくあります。アカデミーが発展するなかで、どのような選手を獲得するのかに始まり、どう指導して育てるのかを長年、多くの方が関わってきた結果にあります。具体的に言えば、中学生のときから続けてきたサッカーがそのまま質や精度や強度が高くなってきます。そのことでやるべきサッカーが成熟していることがあります。 また、ほかのクラブやチームはわかりませんが、大宮には寮があって、サッカーに集中できる環境にあります。毎年、プレミアリーグ終盤にかけて、チームとしてまとまっていく傾向にあり、チームとしても個人としてもグッと成長していますし、サッカーに集中したことで結果と成果が出ていると感じます。それはここ数年、残り3試合は負けていないことにも表れています。サッカーに向き合えている、集中の濃さ、度合いはもしかしたら高いのかもしれません。高校生ですと、どうしても外に遊びに行きたい気持ちは出ると思います。それでも「今はサッカーに集中しよう」と考えられるかどうか。プロを目指すなら、何かを犠牲にしなければなりませんから。 ――たしかに高校生ですし、サッカーに集中できる環境とはいえ、気持ちが散漫になることもあると思います。そうした選手の気持ちの変化というものに気づくのも大事だと思います。 金川:選手は寮に住んでいるので食事や筋トレを一緒に行います。そのなかで感じる機微を多くのスタッフで見ることができます。そのことが強みです。選手としては、放っておかれるのが一番つらいと感じます。「調子上がったんじゃないの?」といったちょっとした一言で選手は違ってきます。その小さなコンタクトの積み重ねがあると思います。