1万5000人の中から見つけた“8年前に涙していた女性” 悲願のJ1初昇格…地元TV局が起こした奇跡【インタビュー】
8年前にスタンドで涙していた女性を探し当てて撮影した地元局「KSB瀬戸内放送」
悲願達成の裏側で、奇跡のような出来事が起こっていた。12月7日に行われたJ1昇格プレーオフ決勝。岡山県のシティライトスタジアムで行われた決戦に2-0で勝利し、クラブ史上初のJ1昇格を掴んだのが、ファジアーノ岡山だった。2016年の昇格プレーオフ決勝で敗退して8年。ようやく掴んだ歓喜の瞬間だった。 【写真】8年越しの悲願に涙を流す「もえ」さんの実際の様子 8年越しの“奇跡”の主人公はこの岡山のサポーターで25歳のXユーザーネーム「もえ」さん。岡山の昇格を伝えた地元テレビ局「KSB瀬戸内放送」の情報番組で、8年前に涙を流す姿と、J1昇格を喜ぶ姿が放送された。同局のディレクターが8年前に涙していた「もえ」さんの記憶を頼りに、この日スタジアムに訪れていた約1万5000人の中から当時17歳、現在25歳になった「もえ」さんを探し当て、映像に収めたのだった。 取材に応じた「もえ」さんは驚きを隠せなかった。「率直に本当にびっくりしました(笑)8年前の映像は何度も使われていたのを知っていたのですが、まさか同じ方が、今年のプレーオフで、私が観にきているかどうかすらも分からない状況の中で1万5000人の中から見つけてくださるなんて考えてもいなかったです。驚きと感動と感謝で本当に胸がいっぱいです」。 「もえ」さんとファジアーノ岡山の物語は2009年に始まる。「小学校5、6年生の頃だったと思います。ファジアーノがJ2に昇格した年に初めて観に行きました。その時は岡山県にJリーグチームが、と話題になっていたので、興味本位で父親が『観に行こう』ってなって連れて行かれるがままに行っていました」。父に連れられてスタジアムを訪れていた「もえ」さんは、どんどんと岡山の魅力にハマり、いつしかスタジアムに通う立派なサポーターになっていった。 岡山サポーターたちが涙に暮れたのは、8年前の2016年だ。J2で6位に入って昇格プレーオフに進出。準決勝で松本山雅FCに2-1で競り勝って決勝に駒を進めたものの、セレッソ大阪に敵地で0-1で敗れた。あと一歩のところで初のJ1昇格を逃し「もえ」さんもキンチョウスタジアム(当時)のスタンドで大粒の涙を流した。当時、KSB瀬戸内放送が撮影していたのは、この時の様子だった。