阪神が犯した2つの防げるミス…”矢野野球”で7.5差に広がった巨人を追えるのか
勝負球は、中途半端に甘く浮いた。ここで裏をかくコントロールは馬場にはない。投手の力量、山田の読み、それらを総合した上で、選択すべき配球としては間違いだったのではないか。 次打者は、2回に特大の三塁打を打たれている、打率トップの若き4番、村上宗隆。梅野には、山田をここで歩かせるわけにはいかない、との意識が働いたのかもしれなかった。 「ピッチャーはみんな粘ってくれていた」と、試合後、矢野監督は、バッテリーの配球を責めることはせず、むしろ、この後、満塁にまでされながら1失点で食い止めた投手陣を労ったという。 外向けのコメントはこれでいい。だが、内向けには、繊細に配球の見返しをしなければ、次にはつながらない。矢野監督は、バッテリーコーチ時代に、試合後、バッテリーに1回から9回まで、すべての配球を1球、1球、見直させていた。その根気強い指導こそが、今の阪神には必要だろう。 防げるミスは、まだあった。 0-1で迎えた三回一死から、坂口智隆がショートの正面に打った打球がワンバウンド、ツーバウンドしたところで、前進してきた木浪のグローブの位置が高く、その先に当たって捕球できなかったのだ。いわゆる腰高エラー。昨年、リーグのショートとしてワーストとなる15個のエラーを喫した木浪は、今季、ここまで2個のエラーと守備の課題を克服していた。だが、今季3個目のエラーが失点につながる。青木宣親、山田の連打で2点目となる追加点を与えてしまった。 7回無死一塁から、サンズの同点2ランで一度はゲームを振り出しに戻したが、結果的に、このエラー絡みの失点が、最後に響くことになってしまった。阪神の失策数はリーグワーストの「45」を更新している。 過去4勝7敗と苦手としている“阪神キラー”のアンダーハンド、山中浩史の幻惑投法に、ストライクゾーンを上下、左右と、幅広く使われ、6回まで打線は無失点と沈黙。ガルシアの力投に応えることができなかった。だが、深刻な問題は、やるべき仕事をチームとして果たせていないことの方だ。今季の1点差ゲームの勝敗は、これで5勝6敗である。首位の巨人は8勝5敗と1点差ゲームに勝ち越している。接戦を左右するものは、イコール野球の質であり、いかに防ぐことのできるケアレスミスを減らしているか、ということである。 阪神の先発防御率の3.21はリーグトップ。先発を軸にした投手陣はいい。機動力を兼ね備えた近本光司が一番にいて、サンズ、大山悠輔、ボーアという他球団が、その攻略に神経を使う3人の主軸を揃えながら、巨人とのゲーム差が「7.5」もあるのは不思議で仕方がない。 今日の先発は青柳晃洋。今季ヤクルトに1試合しか投げていないが得点を許していない。対するヤクルトは、苦しいローテーの谷間で、中継ぎ陣から風張蓮が先発抜擢された。4日からの巨人4連戦を前に絶対に負けられないマッチアップである。