複数用途の不動産でリスク分散 複合型・総合型J-REITの特徴と展望
ユニークな銘柄を探す楽しみ
また、複合型・総合型には、ユニークな性格を持つ銘柄もいくつか存在します。ここではそのうちの2銘柄を紹介します。 インヴィンシブル投資法人(証券コード: 8963)は、ホテルと住居に投資をする複合型・総合型の銘柄です。東京グロースリート投資法人とLCP投資法人が合併してできたもので、スポンサーはファンド運営会社のフォートレスグループです。 この銘柄は、一時経営不安が高まり、投資口価格も低迷を続けていました。しかし、経営陣の刷新とともに、財務体質の強化、インバウンド需要に沸くホテルへの重点投資などで業績を大きく改善させ、2012年からの3年余で投資口価格が10倍以上に跳ね上がった“大化け”銘柄なのです。 J-REITは一般の株式に比べると比較的安定した値動きを見せることが多いのですが、経営方針次第でこんな風に大化けする銘柄もあるということですね。今回はあまり触れる時間のなかった中堅・中小銘柄の中から、こうした大化けの可能性のある銘柄を探してみるというのも、J-REIT投資の一つのもう一つの楽しみ方かもしれません。 もう一つ、三菱商事とスイスの大手金融グループUBSがスポンサーとなっている産業ファンド投資法人(証券コード:3249)は、日本で唯一のインフラファンドと謳われている銘柄です。物流施設のほか、工場や研究開発施設に投資をしています。ここでは、複合型・総合型に含めていますが、産業用不動産特化型として分類されることもあります。性格としては、物流施設特化型に近いイメージですね。 さて、ここまでJ-REITのタイプ別の特徴や銘柄選びのポイントを見てきましたが、J-REITは銘柄数も限られ、かつ様々な情報サイトも充実しています。「japan-reit.com」や不動産証券化協会が運営する「J-REIT.jp」などで様々な銘柄比較ができますし、Yahoo!ファイナンスで証券コードを入力すれば、価格のチャートも簡単に見ることができます。そうした情報を活用して、それぞれの銘柄の特徴をつかむことができるようになれば、J-REIT投資の楽しみもまた広がっていくことと思います。 (ミリタス・フィナンシャル・コンサルティング代表取締役・田渕直也) 著書に『入門 JーREITと不動産金融ビジネスのしくみ』、『入門 金融のしくみ』『世界一やさしい金融工学の本です』(すべて日本実業出版社)。