史上初めて44秒台選手同士が日本選手権で対決 男子400mを国際レベルへ押し上げる“ダブル佐藤”【日本選手権プレビュー】
「前半はゆとりをもって走るといっても、昨年の200m通過は世界と比べて遅すぎました。日本記録は21秒7台でしたが、それを21秒5以内で通過できるようにしたい」 2人が想定している200m通過タイムには、0.4~0.5秒の違いがある。佐藤風の200m通過は世界でも屈指の速さで、日本選手権でも4~5m先行する可能性があるということだ。 だがフィニッシュでは2人とも同レベルのタイムを想定し、優勝が目標だという。 「400mの組み立てをしっかり行えば、日本記録以上のタイムを出せますし、44秒5以内を目標としてやっています。そのタイムを出せば自ずと順位が付いてくる」(佐藤拳) 「44秒台中盤のタイムで優勝することが目標です。(3位以内でも代表入りが有力だが)3番と考えると自分にとって勝負をする場所なのかな、という気持ちになります。やはり優勝で即内定を勝ち取りたい」(佐藤風) “ダブル佐藤”の争いは、日本新記録での決着を2人とも望んでいる。 ■学生時代に日本選手権で出した自己記録が“壁”になった2人 2人は学生時代の日本選手権で出した自己記録を、数シーズン更新できなかった共通点がある。 佐藤拳は城西大3年時の15年の日本選手権予選で45秒58を出したが、その記録を更新したのは45秒31を出した昨年5月の静岡国際だった。その間も日本選手権で上位に入り、五輪&世界陸上の4×400mリレー代表には4回入っている。決して一発屋ではなかったが、佐藤拳自身は22年のアキレス腱痛を契機に自身を見つめ直したことで結論を出せた。 「400mに真摯に向き合えていなかったと感じました。自分の中の原則、経験だけで400mを行っていて、限界ができてしまっていたのだと思います。400mのどこの区間をどう走れば記録が伸びるのか、どういう動きやペース配分をすればいいのか、大学院に行って400mと自分の走りを科学的に考えました。自分の中で400mというものを作り上げる、言語化できるようにしました」