サプライズではなかったシバターのRIZIN大晦日大会での元K-1王者への1本勝ち…”天敵”榊原CEOの評価は?
シバターは横浜のパンクラスイズムの道場でトレーニングを積んでいるが、ミットを持ってもらった梅木よしのりトレーナーから「1万発打っていないパンチは当たらない」との金言をもらったという。「たまたまかもしれないが、1万発練習したパンチでもあるので。そのパンチがラッキーを呼べてよかった」 出来過ぎたエピソードだが、準備してきたパンチであることは確かなようだ。 そこから大振りのパンチの嵐。困った久保の方が、組みついてくると、左手で久保の頭をつかんだ状態で右のアッパーを高速で連打した。久保が首相撲から膝蹴りを狙ってくると、その組みついていた左肩に飛びつき、テイクダウンさせ、そのまま腕ひしぎ逆十字固めで左腕を決めてしまった。 19歳から総合格闘技の練習を始めているシバターの得意技のひとつ。「狙っていたとかじゃなくて、たまたま首相撲で膝の打ち合いみたいな体勢になったから、ちょっと背後からも仕掛けた感じですね」と解説した。 少しの間、久保はタップせず耐えたが、セコンドからタオルが投げこまれた。 敗れた久保は、このシーンを「まだいけたという気持ちもあるんですけど、危ない形だったので、セコンドの先生がタオルを入れてくれて試合が終わっちゃった、という感じ」と振り返り、「案の定、遊んできたので油断しちゃったのか。ちょっとやらかしてしまいましたね。まだ現実を何か受け入れられない」と呆然としていた。 「やったあ」 大声をだしてシバターは泣いた。だが、涙はこぼれていなかった。 そして、準備してきたであろう“迷言“を残した。 「ざまあみろ。Youtuberは強いんです」 総合格闘技界の“レジェンド”桜庭和志が、UFCジャパンで勝利した際に「プロレスラーは強いんです」と名言を残したシーンのオマージュである。 SNSでファンが残念がったのは、1ラウンドで終わり、コスチュームに着替えていたてんちむのラウンドガールが実現しなかったこと。真剣勝負のシバターにそこまでの演出を仕掛ける余裕はなかったのだろう。 この勝利は番狂わせでもサプライズでもなかった。体重差は約12キロ、しかもMMAルール。シバターには、総合格闘家としての基本スキルが備わっており、前々日の会見で「はまるパターンがあれば可能性も」とも語っていたが、腕ひしぎ逆十字固めに持っていく得意パターンがあった。 カーフキックも含めた下半身への蹴りを、体力差とテクニックでいなしさえすれば、このパターンに持ち込む可能性は十分に考えられた。 総合格闘家で元修斗王者のリオン武や、RIZINバンタム級GPに出場していた石渡伸太郎らが、シバター有利説を唱えていたが、昨年も階級が下のHIROYAの打撃に耐え、最後は腕ひしぎ逆十字で仕留めたシバターには勝算はあったのである。 結局は、「棄権する」と騒ぎたてたのは、対戦を盛り上げ、久保を油断させる彼の罠であり、繰り返したRIZIN批判も万が一負けた場合の言い訳だったのだろう。