新型日産ノート オーラNISMO tuned e-POWER 4WDは、乗れば納得“俊足の電動シティレーサー”だった!
おもしろいように曲がる
私は試乗前、上記の説明を受けていたが、実際に走り出してみると、たしかに楽しい! 開発者の言葉どおり、おもしろいように曲がる。パワフルな前輪駆動より、コーナリング中にも強気で加速可能。この感覚も、かなり良い。 有段ギアがないゆえ、アクセルをゆるめたときにシフトアップしてしまい、加速が鈍る……ということがないのも、モーター駆動のメリットである再認識した。 きついカーブへ入っていくのでアクセルペダルから足を離してブレーキをかけたときや、低速で通過しなくてはならないコーナーから脱出して加速するとき……など、あらゆる場面でスムーズな加速の恩恵を感じた。 「エコ」「ノーマル」それにNISMOと3つのドライブモードで、前後の駆動力配分の上限が決まっている。もちろんNISMOモードがノート オーラNISMOのポテンシャルの引き出す点において、もっとも優れる。とくに直線で強く加速したときは75%程度のパワーが後輪へと配分されるようだ。 新しいノート オーラNISMOでは、シャシーもチューニングされている。サスペンションシステムでは、フロントのストラットをはじめ、スプリング、ダンパー、ブッシュが専用タイプへ。ステアリングのアシストマップと、シャシー制御をするVDCとインテリジェントラインコントロールも専用チューニングだ。その恩恵は4WDでもしっかり感じた。 ハンドルを切ってぱっと曲がる。その動きがとても楽しいので、飽きない。ただし、コーナリングやスラロームを楽しめる環境にいる人が買うなら、標準シートだとホールド性がいまひとつかもしれない。オプションのレカロシートを選ぶと良いだろう。 6.5Jから7Jへとワイドリム化した17インチホイールも専用。それに組み合わされたミシュラン「パイロットスポーツ4」も「これがもっとも性能を引き出してくれる」(NISMOの担当者)とのこと。たわみが少なく、それでいて柔軟性に富む。スポーティでありながら快適性も満足いくレベル、と、称賛している。それもよくわかった気がした。 惜しいのはブレーキのフィールだ。反発力がややとぼしくて、どこからどれだけ効くかがわかりにくい。ちょんっと踏むつもりが、グーっと奥まで踏み込んでしまい、ガックンと制動がかかってしまうのも私は体験した。ストロークで効かせるより踏力で強さを調整できれば、鬼に金棒っていってもいいのに、と、感じられた。 エンジンは2021年に新しくなって、高速領域で始動したときの音がうんとよくなった。今回もその美点はちゃんと引き継いでいて、というか、まわっているんだろうが、存在感が弱くなったような気すらした。つまり洗練されたということだ。 価格は、前輪駆動車の¥3,072,300に対し、4WDは¥3,473,800と比較的リーズナブルな価格設定もよい。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)