じつは「マンモスが滅びて、森が繁栄した」…同じことが「白亜紀」に起こっていても「少しも不思議ではない」という、納得の理由
被子植物が成功したもう1つの理由
以上に述べたような動物による送粉が、被子植物の成功の原因である可能性は非常に高い。とはいえ、被子植物が成功した原因は、これだけではなさそうだ。 昆虫に送粉してもらうために進化したと考えられる花のような構造は、被子植物以外の植物でも何回か進化しているし、現生の裸子植物であるソテツも昆虫に送粉してもらっている。しかし、これらの植物は、被子植物のような成功を手に入れることはできなかった。 被子植物が成功した理由の2つ目は、おそらく受粉して種子ができた後の戦略が関係している。昆虫の力を借りて確実に受粉し、その結果たくさんの種子を作ったとしても、それらの種子が親植物の近くに落ちるだけだったら、どうなるだろう。 親植物が作る日陰のせいで育たないかもしれないし、たとえ育ったとしても、日光や地中の栄養について親植物と競合するので、あまり大きくはなれないかもしれない。しかも、親植物の近くに生えるだけでは、分布を広げることもできない。 花粉が親植物から離れたところに落ちるための戦略としては、風の力を利用する方法がある。種子にパラシュートや翼のような構造を付けることによって、風に乗って遠くまで移動することができるのである。 ただし、この方法には問題がある。種子を軽くしなければならないので、種子を大きくすることができないのだ。そのため、発芽した後に必要な養分を、種子に蓄えておくことができない。したがって、発芽したらすぐに光合成ができるような明るい場所で、しかも土壌も豊かなところに落ちなければ、育つことができないのである。
被子植物の新たな戦略「果実の発明」
そこで、被子植物は新たな戦略を進化させた。種子を動物に運んでもらうのだ。その中には、植物のそばを通り過ぎるだけの動物に種子を付着させて、運んでもらう植物もいる。そういう植物の種子にはギザギザした構造などがあって、毛や羽根に付着しやすいようになっている。 しかし、被子植物は、もっと積極的に動物を呼び寄せる構造を進化させた。それが果実である。種子を美味しい果実で覆ったことにより、動物が果実と一緒に種子を食べてくれるのだ。 動物は長距離を移動できるし、その後で種子を排泄すれば、親植物から遠く離れた土地で発芽することができる。ただ、動物に消化されないように、種皮を頑丈にしなければならないけれど、その反面、動物が運んでくれるので、養分をたくさん蓄えた大きい種子を作ることもできるようになった。
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