被団協代表団の宿泊ホテル、クリスマスツリーに折り鶴…「被爆者への敬意と歓迎の気持ち」
【オスロ=小松大騎、美根京子】「日本原水爆被害者団体協議会(被団協)」へのノーベル平和賞の授賞式が、10日午後1時(日本時間午後9時)に迫る。クリスマスシーズンとも重なり、にぎわうノルウェーの首都オスロは、街を挙げて被団協の受賞を祝福する。 【写真】ノーベル研究所に展示されているメダルのレプリカと折り鶴の絵
平和の象徴
被団協代表団のオスロ到着から一夜明けた9日朝。宿泊先のオスロ中心部のグランドホテル1階カフェでは、代表委員の箕牧(みまき)智之さん(82)や田中熙巳(てるみ)さん(92)らがリラックスした表情で朝食を取っていた。
箕牧さんは「飛行機では眠れなかったが、ホテルで熟睡できた」とすっきりした表情を見せ、「多くの人が歓迎してくれてうれしかった。平和賞への注目度や関心の高さを感じた。気力を振り絞って最後まで頑張りたい」と笑顔を見せた。
グランドホテルは、1874年創業の歴史あるホテルだ。ロビーでは、数多くの折り鶴が飾り付けられた高さ約3・5メートルのクリスマスツリーが宿泊客らを出迎える。装飾を担当したフラワーデザイナーのスタイン・アーレ・ハンセンさん(50)は「平和の象徴である折り鶴に、広島・長崎の被爆者への敬意と歓迎の気持ちを込めた」と話す。
「被爆者の物語学ぶ」
日本から約8400キロ離れたオスロは、ノルウェー南東部にある人口約70万人の最大都市。氷河による浸食で形成された「フィヨルド」(入り江)の最奥部に面し、雄大な自然と歴史的な街並みが融合する。冬場の日照時間は午前9時頃~午後3時頃までの約6時間しかなく、9日の最低気温は氷点下7度だった。
ホテル前のカール・ヨハン通りは、オスロ中央駅から王宮まで続く。至る所に「THE NOBEL PEACE PRIZE(ノーベル平和賞)」の垂れ幕がはためく中、一帯ではクリスマスマーケットが催され、大勢の家族連れらでにぎわう。
燻製(くんせい)店を営むオーレ・ペッテルさん(49)は「授賞式は毎年クリスマスシーズンと重なり、街全体が盛り上がる。今年は被爆者の物語や原爆が落とされた歴史を学びたい」と期待する。