ベトナム料理店を開いたインドシナ難民 長期的な支援が不可欠と専門家【あなたの隣に住む「難民」⑧】
難民が「日本に来て良かった」と心から思えるよう、認定制度や支援策の抜本的改善が求められている。 【取材記者から】 ▽23年の申請者は1万2千人超 2023年の難民認定申請者は少なくとも1万2000人に上り、過去最多だった17年の1万9629人に次ぐ急増ぶりとなった。正式な申請者数などは24年3月ごろに出入国在留管理庁が発表予定だ。 難民申請の6カ月後に就労が認められるようになった10年以降、申請者は大きく増えた。難民申請が乱用されているとして、法務省入国管理局(現入管庁)が18年、申請を繰り返した場合は在留を認めないなどの対策を取ると、減少に転じた。コロナ禍の20年からは、入国制限で来日外国人が激減したのに伴い、2千人から3千人台で推移していた。 23年の増加の原因は、①4月に水際対策が終了し、母国から脱出したくてもコロナ禍で動けなかった人が新たに入国、申請した②アフリカをはじめ紛争が相次ぎ、既に来日していた人が申請に踏み切った―などが指摘されている。
急増の結果、政府による難民申請者への保護費の支給が遅れ、ホームレスになって公園で野宿する申請者が相次いでいる。22年時点で平均約2年9カ月(異議手続きも含めると3年11カ月)かかっている難民審査の期間が、さらに延びる恐れもある。 なお、スーダンをはじめ、政情悪化が著しい国からは容易に出国できないため、それらの国の出身者による申請が激増しているわけではない。 一方、難民認定者は22年、202人と過去最多で、認定率は2%だった。23年も、アフガニスタンから避難した国際協力機構(JICA)の現地職員と家族114人が7月に認定され、例年を上回った。 また、入管庁は23年3月、難民認定の基準を初めて策定した。迫害の定義などを従来の運用より拡大しており、今後、認定増につながる可能性もある。 それでも、欧米諸国が千人、万人単位で難民認定しているのに比べれば、圧倒的に少ない。例えば、クーデター後の抑圧が続くミャンマー国籍者でさえ、22年の難民認定率は1・3%にとどまる。 ▽認定以外の保護増える