サニブラウンはロンドン世陸で日本人初の9秒台を出せるのか
陸上競技のロンドン世界選手権が日本時間5日の未明に開幕、大会初日から注目の男子100mが行われる。予選は20時20分(日本時間で5日5時20分)、準決勝は5日の19時05分(同6日3時05分)、決勝は同日の21時45分(同6日5時45分)というタイムスケジュールだ。 4年前に当時高校3年生だった桐生祥秀(東洋大)が10秒01をマークしてから、日本人スプリンターにとって「9秒台」は現実的な目標になった。今回は、自己ベスト10秒05のサニブラウン・ハキーム(東京陸協)、同10秒08の多田修平(関西学院大)とケンブリッジ飛鳥(Nike)の3人が世界の舞台で10秒の壁に挑むことになる。 過去の世界大会を振り返ると、9秒台を狙うべきポイントが見えてくる。ビッグチャンスがあるとしたら準決勝になるだろう。昨年のリオ五輪は予選の9秒台はゼロ。日本勢ではケンブリッジ飛鳥(ドーム/現Nike)が4組を10秒13(-0.5)の2着で、山縣亮太(セイコー)が8組を10秒20(-1.3)の2着で予選を通過している。準決勝は山縣が2組で10秒05(+0.2)の5着、ケンブリッジは3組で10秒17(±0)の7着、ともに落選した。準決勝の9秒台は6人で、決勝進出ラインは10秒01だった。 一昨年の北京世界選手権は予選で8人、準決勝で9人が9秒台で駆け抜けている。日本勢は高瀬慧(富士通)が予選1組で10秒15(-0.1)の4着に終わったが、同年5月にアジア出身選手として初めて9秒台を刻んだ蘇炳添(中国)が準決勝1組で9秒99(-0.4)の4着。9秒台で走破して、ファイナル進出を果たしている。 4年前のモスクワ世界選手権では予選の9秒台は2人。準決勝では7人が9秒台をマークして、決勝通過ラインは10秒00だった。5年前のロンドン五輪は今大会の会場でもあるロンドン・スタジアムで開催された。予選の9秒台は2人。当時、慶大2年生だった山縣が6組で10秒07(+1.3)の2着に入り、予選を突破した。準決勝は3組で10秒10(+1.7)の6着で敗退。準決勝の9秒台は7人で決勝進出ラインは10秒02だった。 100mは予選、準決勝、決勝の3ラウンド。有力選手は決勝に向けて、徐々に上げていくイメージで臨んでいる。全力疾走は決勝だけで、予選は力をセーブして、準決勝も終盤は流すことが多い。予選の9秒台が少ないことを考えると、日本人選手は準決勝の高速レースに絡んで、9秒台を狙いたい。しかも準決勝を9秒台で駆け抜ければ、決勝に進出できる確率はすこぶる高いのだ。 では、日本勢では誰が最も9秒台に近いのか。スタートが得意で今季急成長の多田、終盤に強さを発揮するケンブリッジも楽しみではあるが、今大会における9秒台の可能性を考えると、18歳のサニブラウンが一番おもしろいだろう。