50代、ハラスメントが怖くて「なにも話せなくなった」男性の絶望…この状況を好転するための「2つの秘策」
本当にいいたい話したい事は限定的に
スタンダードがわかれば、「許される幅」もだいたいわかりますよね。どの程度のジョークならハラスメントじゃないのかと、考えながら発言していいくしかありません。 面倒くさいですか? たしかに、面倒くさい。でも、これはもう、慣れですよ。 たとえば、会社の部下に「そろそろ結婚とか考えていないの?」とか「恋人はいるの?」などと問いかけるのはルール違反ですよね。 でも「おはよう。いい天気だね」とか、「なんか今週末は台風らしいね」という問いかけならどうでしょう? だいじょうぶですよね? そう。コミュニケーションのポイントは「挨拶プラス」。「当たり障りのない会話をする」のが基本ベースです。 そこから少し外したいときには、「相手の質問には誠実にこたえながら、コミュニケーションをとる」と、いいと思いますよ。 たとえば、会社で「太一さんはテレビとか見るんですか?」と聞かれたら、それには答えていいですし、どのくらいの頻度でどんな番組を見るかを答えてもいいでしょう。 そして、ここからがポイントなのですが、相手がしてきた質問と同等の質問なら、それで訴えられることもまずないでしょう。テレビを観ますかと尋ねてきた相手には、テレビを観ますかと尋ねてもよい、そういうことです。
「本音を話せる場所」を新規開拓するのもいい
昭和な私たちからしてみると、なんとも乾いたコミュニケーションに感じますよね。でも、慣れてくれば、こういう「浅い内容の話」がどんどんできるようになります。 相手を仲間とか友達と思うから辛いんです。見知らぬ人や、顔見知り程度の人との会話と思えばいいんです。スーパーやカフェの店員さんや、美容師さんや整体師さんとの会話くらいのテンションで話す、それでいいのです。 本当に話したいことは、あなたの理解者とすればいいではありませんか? 奥さんやお子さんや、古い友達と話す時間を増やしていきましょう。 それともうひとつ。 お酒がお好きならばひとりでバーに行ってみるといいですよ。カウンターに座っていれば、周囲のお客さんの会話が自然と耳に入ってきます。バーテンさんがお客さんにどんな問いかけをしているかがわかります。節度がある中でのユーモアってどういうものなのかが、お酒を楽しみながら身に着くのです。 銀座のクラブのような、上質な接客マナーを身に着けている人たちのお店に行くのもおすすめです。そこには、あなたの日常のコミュニケーションに役立つ、学びがあるはずです。あなたの現実社会に応用できる会話術を学べます。 そんなふうに、会話術を学びながらも、あなたの本音を話せる場所を、新規開拓していくのは精神衛生上もおすすめです。 世の中、いろいろ決まりごとの多い時代になりました。それはそれで仕方のないこととあきらめることです。諦めながら、自己流でコミュニケーション術を高め、なおかつ、あなたが素直にストレートに話せる場所も確保しておく。 そうやって、この社会をのりきっていきましょう。 時代の変化についていくしかない。会社や地域では「現代のスタンダードな会話」を。古い友達や秘密基地で自分らしい会話を。 …つづく、<アイドル時代の前田敦子を「普通の子」と話す、41歳「モテない男」の危ない勘違い>ほか、安藤房子氏さんの連載は<過去記事の一覧>からどうぞ。
安藤 房子(作家・恋愛心理研究所所長)