ジャンボタニシにキョンからクマまで! 在日ベトナム人たちが日本の有害生物を狩りまくっていた!!
■ベトナム人のクマハンターが語る さらに〝ガチ〟な世界もある。 「クマとの戦いは命がけだ。シカとは訳が違う。だが、クマの肝は高く売れるぞ。新鮮なものは、15㎏で5万~7万円くらいになる」 電話口でそう豪語したのは、ベトナム人ハンターであるドゥン氏(仮名)だ。 詳細は明かせないのだが、彼のフィールドは東日本の某山脈。房総半島の密猟集団(おそらく)とは違い、元技能実習生のドゥン氏は日本人から狩猟を習ったことで、正規の狩猟免許を持つ。中古で購入した30万円のライフルを相棒に、山野を駆けているのだ。 彼の獲物はシカやウサギなど多岐に及ぶ。ただ、最も難度が高いターゲットは、もちろんクマだ。 日本には北海道に生息するヒグマと本州以南に分布するツキノワグマがいる。いずれも近年は人間との接触が増え、23年度に過去最悪の219人が襲われるなど獣害が深刻化している。クマを狩ったハンターに、少額ながら報奨金を出す自治体もある。 「クマの肝は、ケガを治りやすくしたり、疲労回復に効果があったりする(という民間療法に使われる)。ベトナム人はもちろん、中国人やミャンマー人にも人気だ。彼らは高値をつけてくれるよ。肉や爪も売れるんだ」 実は彼が捕まえたクマの肝や肉、手のひらなどは、食用や薬用(ベトナムの伝統医学)として、ネット上の仲介者を通じてボドイ・コミュニティでひそかに販売されている。 私たちはフェイスブック経由でクマの爪(9000円)を購入したが、ドゥン氏が狩猟し、仲介者に4000~5000円で卸したものだった(爪は食用や薬用ではなく観賞用である)。 * * * 生態系を乱す侵略的外来種であるジャンボタニシやキョン、深刻な人的被害が伝えられるイノシシやクマ......と、近年の日本人を震撼させる有害生物の多くは、実はベトナム人にとっては「おいしい食材」でもある。 この現象を肯定的に見るべきなのか。だが、一連の動きは複数の法令違反が前提であり、もろ手を挙げては歓迎できない。増え続ける有害生物と、それを消費するベトナム人のやりたい放題。令和日本の有害生物事情はなんとも悩ましい。 取材・文/安田峰俊