コロナ禍で「儲かっている」業界は?
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて経済活動が停滞するなか、動画配信サービスなど需要が好調な分野もあります。外出の自粛によって在宅の人が増えたことによる「巣ごもり需要」や、感染を防ぐために人との接触を避ける「非接触」を求める動きが、その背景にあります。具体的に見ていきましょう。
Netflix外出自粛で会員増加
米国に本社を置く動画配信サービス大手のNetflixは4月21日、3月末における全世界の会員数が、前年3月末の1億4886万人に比べて22.8%増の1億8286万人になったと発表しました。3か月ごとの会員増分の推移を見ると、昨年9月末~同12月末で677万人増だったのに対し、今年3月末までの3か月は1577万人増と、約2.3倍に拡大しています。発表によると、会員が増えたのは、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう各国の外出自粛の影響としています。
Netflixと同じく、国内で映画やドラマなどの動画配信サービスを展開するU-NEXTでも加入者は増加傾向にあり、4月は単月で過去最高の加入者増となったそうです。同社の堤天心社長は「外出自粛の広がりを受け、加入者の方々の在宅時間が長くなっているせいか、視聴時間、作品の視聴回数ともに増加しています」と語ります。 同社のサービスは、スマートフォンやタブレット、テレビなど複数の端末の利用が可能ですが、最近はテレビでの視聴回数と、テレビからの加入申し込みが増えているそうです。堤社長は「リビングのテレビでの視聴ニーズが増えているのかもしれない」と推測します。 「今後、新型コロナウイルスの感染拡大が収束すると一時的に反動もあるが、今回のことは市場全体が伸びるきっかけの1つにはなるでしょう」と見る堤社長ですが、「新型コロナウイルスの感染拡大によって映像制作に支障が出ており、感染拡大は1日も早く収束してほしい」と制作現場への影響を懸念しています。
飲食宅配も好調
飲食店の宅配代行サービスも、「密閉・密集・密接」のいわゆる3密を避けて飲食店の料理が楽しめるとあって、引き合いが伸びています。全国の飲食店のうち、2万1609店舗(2020年3月末現在)が加盟する大手宅配代行サービスの出前館では、注文件数が1月末で前年同月比7%増の271万件だったのが、2月末で同18%増の273万件、3月末で同21%増の303万件と増加傾向にあります。