コロナ禍で「儲かっている」業界は?
同社の広報担当者は、「感染拡大による生活スタイルの変化が注文増の要因の1つと見られます。(感染拡大が収束した後は)需要が下がるとの見方もありますが、長期的に見れば、生活に必要不可欠なサービスになっていくのではないか」と話します。また、配達員が直接商品を手渡すのではなく、注文時にキャッシュレス決済を選択でき、かつ商品を玄関前など客が希望する場所に置く「非接触型」のデリバリーも人気だそうです。
「注文がはね上がった」生協
スーパーに行かずに買い物ができることから、食品や日用品の宅配サービスも注目を集めています。日本生活協同組合連合会は4月21日、東都生協を含む全国65の主要地域生協の3月の売上高が前年同月比12.2%増の2316億6100万円になったと発表しました。このうち、宅配事業は同14.2%増の1482億9600万円と全体の伸び以上に拡大しています。 「注文が顕著に増えたのは2月の最終週。2月27日に安倍晋三首相が休校要請を発表すると、一気にはね上がりました」と振り返るのは、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で事業を展開する東都生活協同組合の広報担当者。主要地域生協の1つである東都生協では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い注文が増加、4月20日の週の注文金額は、前年同期比で約30%増になったそうです。 ただ、今後については、「感染収束後も利用が定着するとありがたいのですが、休校や出勤の自粛が解かれて外食する人が増えると、利用は減るのではないか」とシビアに見積もります。
電子決済「堅調」も、業種に明暗
需要が伸びている分野は、QRコード決済の提供会社の利用状況に現れています。QRコード決済サービス「d払い」を手掛けるNTTドコモの広報担当者によると、3月中旬以降、アマゾンなどのECサイトや、デジタルコンテンツへの決済の利用が増加傾向にあるそうです。自治体による外出自粛要請や企業によるテレワークの推進などが要因だとみています。 LINE Payでは、加盟店のうちスーパー、ドラッグストア、オンラインサービスなど、生活必需品を売る業種や、在宅で楽しめる業種の決済利用が多い一方、休業下にある飲食店は厳しい状況だそうです。また、同社の広報担当者によると、非接触型の決済ニーズはあり、「順調に事業は拡大している」としているものの、経済全体の動きが停滞していることから「新規登録数や決済金額の増減について、顕著な影響は現れていません」と話します。 (取材・文:具志堅浩二)