「母さんには絶対迷惑かけんなよ」元サッカー選手・太田宏介が明かす苦しかった少年時代 兄との合言葉は常に「母親への親孝行」だった
■「母さんには絶対迷惑かけんなよ」 ── 思春期に入り、6歳年上のお兄さんとの関係はいかがでしたか? 太田さん:年齢差があったのでケンカにならなかったですね。ぼくよりも体格がよかったのでケンカになってもかなわないことはわかっていたので。ただ、ぼくが何か悪いことをしたときはめちゃくちゃ怒られましたし、思いっきり殴られたこともありました。そういうときは自分が悪いことは理解していたので、何も言い返せなかったですね。まさに父親代わりでした。家庭環境が激変してからは、兄は大学に通いながら、それ以外の時間はほとんどバイトの日々だったので会う機会は少なかったけれど、「母さんには絶対迷惑かけんなよ」とか「お母さんが落ち込むようなこと絶対するなよ」ということは釘を刺されてましたね。
── だからこそお兄さんやお母さんとの絆も強いんですね。 太田さん:今でも家族と頻繁に会っていろいろと昔話をしたりします。夢や目標に向かう自分を、いつも全力で応援してくれた母や兄がいたからこそ、ぼくは夢を掴むことができました。離婚後、家族のために身を粉にして働いてきた姿を見てきたからこそ、本当に母の存在は偉大で。ぼくも兄も、母親を楽にさせたいっていう思いで死ぬ物狂いでやってきて。「いつか一緒に仕事をしたいね」と未来を描きながら、自分たちの力でそこにたどり着くことができました。その過程で、絆もより強くなったと思います。親孝行は母が死ぬまでしたいと思っています。人生いろいろありましたけど、ひとつのきっかけがあってこうして頑張ってこられたってことは、今となってはぼくたちの大きな自信にもなっています。
■引退後の兄弟の夢は「兄弟で新規事業を」 ── サッカー選手を引退された現在、これから何か計画していることはありますか? 太田さん:現役アスリートやアスリートを目指してる体育会学生、子どものサッカー指導や将来教育に熱心な親御さん向けのキャリア支援サービスを始める準備をしています。アスリートが引退後も不安なくセカンドキャリアにスムーズに移行ができるようなサポートをしていきたい。年内には発表できると思います。