子どもの短所を直そうと必死な親がズレている訳
これが愛情不足感と言われるものであり、こうなると生きるエネルギーが減退してますますがんばれなくなります。また、親の言葉にも素直に耳をかたむけることができなくなり、必要以上に反発するようにもなります。親子関係が悪化し子どもの気持ちがどんどんすさみます。これが悪循環の始まりです。 また、「ぼくってダメな子だな」「どうせ何をやってもダメだよ」という自己否定感にとらわれてしまい、チャレンジ精神や向上心を失ってがんばれなくなります。先述したように、大人になってからも尾を引いて自己改造の必要性を感じたときも「でも、どうせ自分には無理」と思ってしまう可能性があります。
第2として、うまくいかないことについては否定的に叱るのではなく、工夫することが大事です。そして、工夫には合理的な方法の工夫と言葉の工夫の2つがあります。 まず、合理的な工夫については例えば次のようにします。 A君は毎朝トマトに水をやるのを忘れがちでした。でも、水を入れたペットボトルを枕元において寝るようにしたら忘れなくなりました。 また、B君は学校から体育着を持ち帰るのを忘れがちでした。でも、ランドセルの蓋の内側に「体育着」と書いた付箋紙を貼るようにしたら忘れなくなりました。
C君は宿題に取りかかるのが遅くて叱られていました。でも、学校から帰ってきて宿題を1問だけやってから遊ぶことにしたら、取りかかれるようになりました。 以下、羅列的に紹介します。片づけが苦手ならワンタッチ収納やラベリングなどの工夫。忘れ物が多いなら持ち物コーナーの設置や親の最終確認の励行。やるべきタスクがテキパキこなせないならお支度ボード。イヤなことを後回しにするなら家庭内時間割。時間にルーズなら模擬時計。
次に言葉の工夫です。とにかく大事なのは子どもを責める要素を入れないで伝えることです。 ○○するといいよ。先に○○すると後で楽だよ。先に○○する? それとも遊んでから○○する? さあ、○○しよう。パパと競争だ。何秒でできるかな? 用意ドン。○○してくれるとうれしい。○○してくれてありがとう。がんばってるね。などです。 ■親子関係と自己肯定感をひたすら大切に ただし、工夫をしても簡単には直らないことが多いのはここまで書いたとおりです。そういうときは、手伝ったりやってあげたりしましょう。しかも、叱りながらでなく明るく楽しく、子どもとの触れ合いのひとつとしてエンジョイしながらです。こういう実際的な方法で乗り越えてきた親子は星の数ほどたくさんいます。