子どもの短所を直そうと必死な親がズレている訳
なかなか直らない理由の2つめは、子どもには直そうというモチベーションがないからです。つまり、子どもは「絶対に直さなければならない」という自己改造への強い必要性を感じることができないのです。 かえって大人になってからのほうが、必要性を強く感じて直る可能性があります。大人が物の管理ができなくて大事な書類をなくしたり、時間にルーズで待ち合わせに遅れたり、やるべきことを後回しにして締め切りに遅れたりしていたらどうでしょうか?
仕事がうまくいくはずがありませんし、周囲からの信用を失ってしまいます。仕事を首になって自分や家族が生活できなくなるかもしれません。 ですから、大人になってからのほうが自己改造へのモチベーションが持てるのです。それに、大人のほうが自己改造の能力もあります。子どもより思考力もあり自分で工夫する問題解決力もあります。よい方法を学んだり情報を得たり、必要な物を買ったりすることもできます。子どもにはないものばかりです。そもそも、一番肝心なモチベーションがありません。
■「子どものうちなら直る」は迷信 昔から「子どもがだらしがないのは親のせいだ」とか「大人になると直らない。子どものうちなら直る」などと言われてきましたが、これらは集団的勘違いであり迷信だったのです。 ただし、大人になって必要性を感じ「直したい。直さなきゃ」と思ったとき「でも、どうせ自分には無理」と思ってしまうと、やる気スイッチが入らない可能性があります。 例えば、子どものときに「片づけなきゃダメでしょ」「何をやっても遅い」「だらしがないね」「忘れ物ばかりしちゃダメでしょ」などと叱られることが多くて、自己否定感にとらわれてしまっているとそうなる可能性があります。ですから、叱るのをやめて子どもの自己肯定感を育てながら待つことが大事です。
では、子どものしょうがない姿を前にして、親として実際にはどうすればいいのでしょうか? まず第1に、このように子どものしょうがない部分は生まれつきの資質によるものであることと自己改造へのモチベーションもないことをはっきり認識して、自分を責めたり子どもを叱ったりするのをやめることが大切です。 「親である自分のせい」と自分を責めていると子育てが楽しめませんし、そのストレスで子どもを否定的に叱ることが増えてしまいます。叱られることが多い子は、「こんなダメな自分はお母さんお父さんに大切にされないな。愛してもらえない」と感じる可能性もあります。