トランプ氏の「米国製」ビットコイン公約、実現は困難-国外で競争激化
(ブルームバーグ): これからは全てのビットコインを「米国製」にするという、トランプ次期米大統領の選挙公約は、実現がかなり難しいかもしれない。
トランプ氏は6月、邸宅「マールアラーゴ」でビットコインのマイニング(採掘)企業幹部と面談した後、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿し、この公約を表明した。これらの企業は、ビットコインやその他の暗号資産(仮想通貨)で支払われるのと引き換えに、ブロックチェーン上の取引を促進する作業を大規模なハイテクデータセンターで行っている。この会合は、暗号資産に懐疑的なトランプ氏が強力な支持者へと変貌を遂げる重要な転換点となった。
「トランプ氏らしい発言だが、現実にはあり得ない」と、採掘業者にソフトウエアとサービスを提供するルクソール・テクノロジーのイーサン・ベラ最高執行責任者(COO)は言う。
ブロックチェーンは分散型ネットワークであり、誰もそのプロセスを管理することも、参加を禁止することもできないため、トランプ氏の支持表明は象徴的なものと広く見なされており、公約の実現はほぼ不可能だ。実際には、毎年この業界が生み出す数十億ドルの分け前を狙って、世界中で大規模な事業が立ち上がっており、この業界の競争はますます激しくなっている。
ロシアの政治家やドバイの王族、アフリカの中国人実業家らが新たな競争相手だ。この業界は、利益は多いが膨大なエネルギーを必要とするため、豊富な資金力と強大な権力が参入につながっている。
ビットコインの米国でのマイニングは、仮想通貨の価格急騰により、ここ数年で数十億ドル規模の産業へと変貌を遂げた。しかし、業界アナリストによると、米国を拠点とする採掘業者が生成する総演算能力は50%にも満たず、国内企業だけでネットワーク全体を稼働させることは不可能だ。
クリーンスパークやライオット・プラットフォームズなど米採掘企業は、トランプ氏をいち早く支持した。環境に配慮した規制の緩和や、国外勢力の競争排除、抑制的なガイドラインの撤回をトランプ氏に期待したからだ。トランプ氏の仮想通貨支持により、マイニング業界からの献金は選挙期間中に約1億3500万ドル(約213億円)となり、どの業界よりも多かった。