トランプ氏の「米国製」ビットコイン公約、実現は困難-国外で競争激化
米国での急速な拡大と仮想通貨の最近の強気相場にもかかわらず、米国による経済制裁や一部の新興国でのインフレ高進により、米国外の採掘企業はさらなる事業拡大に駆り立てられている。
ビットコイン採掘用の特殊コンピューターを扱う最大手ブローカー、シンテック・デジタルのタラス・クリク最高経営責任者(CEO)は「いくつかの異なる市場で大きな成長が起こりつつある」と指摘。カザフスタンなどの東欧で需要が高まっており「アジア、アフリカ、中東への販売はすべて増加傾向にある」と述べた。
アジアでの大規模な売り上げは中国でのビットコイン採掘活動の拡大を示唆している。2021年に中国政府はビットコイン採掘事業を全面的に禁止したが、クリク氏によると、仮想通貨に対するロシアの姿勢が緩和されたことで、中国での復活が促進されている。
アフリカや南米の一部では、米国の同業者と比較して、ビットコイン採掘による利益率がはるかに高い。安価なエネルギー供給地はアフリカ全土に広がっており、水力発電が豊富なエチオピアは、アフリカ大陸で特に急成長中の暗号資産採掘ハブだ。ドル建ての採掘収益はアルゼンチンなどで、インフレの悪循環に陥らず貯蓄を維持するための手段を現地事業者に提供している。
テキサス州などで電力コストが上昇しているため、米国のマイニング企業も海外進出に乗り出している。時価総額で最大の暗号資産採掘業者MARAホールディングスは、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビの政府系ファンドが所有する現地企業との合弁事業計画を発表した。中東最大級の採掘業者構築を目指している。
そして、トランプ氏が米国の採掘業者にもたらし得る逆風がもう一つある。中国との貿易戦争は、ビットコイン採掘機のコストを上昇させる可能性が高い。採掘機のほとんどは中国企業であるビットメインによって製造されており、特に採掘機は電気代に次ぐ2番目の大きな出費であることを考えると、その傾向は強い。しかし、多くの採掘者にとってトランプ大統領がもたらす利益は害を上回る。