F1分析|ラッセルに抑えられなければ勝機はあった……悔やむノリス。F1スペインGPの上位ふたりのレースペースを検証する
フェルスタッペンを凌ぐペースで走ったノリス
上のグラフは、スペインGP決勝レースでの、フェルスタッペン、ノリス、ルイス・ハミルトン(メルセデス)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)のペース推移をグラフ化したものである。上に行くほど速く、下に行くほど遅いということを示している。 このうち、赤い丸で囲んだ部分をご覧いただきたい。ノリスのペースがそれまでよりも0.5~1秒ほど上がっているのがよくお分かりいただけるだろう。つまりそれだけ、ノリスはラッセルに抑えられていたということだ。 さてその一方で、フェルスタッペンとノリスの戦略が異なったという点も興味深い。いずれのドライバーもソフト→ミディアム→ソフトとタイヤを繋いだ。しかし第1スティントではノリスが新品タイヤを履いたのに対し、フェルスタッペンは中古のソフト。一方で最終スティントは、フェルスタッペンが新品ソフトを履き、ノリスが中古のソフトを履くことになった。 それもあってか、フェルスタッペンは第1スティントを早々に切り上げ、ピットイン。これには驚いたと、前出のステラ代表は語る。 「16~17周で他のドライバーがピットインしたのを見て、とても驚いた。私からすれば、それは自分で自分を苦しめるだけだと思う」 「ここでは、デグラデーションが大きいから、オーバーテイクできる。それで我々は、レースに復帰できると思った。そして自分たちのレースを進めたんだ」 一方でレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、レースの最後に新品タイヤを履く戦略を採ったと明かす。 「ランドとは接戦になるのが分かっていた。スタートは重要だったが、新しいタイヤではなく、中古のタイヤでスタートした。レース後半にアンダーカットする必要があると考えていたんだ」 「ジョージを素早く抜くことが非常に重要だった。DRSの使用が解禁されると、マックスはすぐに彼をパスした。そしてその後すぐにタイヤマネジメントに入った。それで、楽に差を築くことができた」 「その時点で、戦略とピットストップの点で最適なレースをすることに決めた。一方でマクラーレンは当然スティントを伸ばし、最適なレースをしようとした」 ホーナー代表が語るように、その後はフェルスタッペンが先にタイヤを交換し、ノリスが後でタイヤ交換に入るというレース展開となった。そして各スティントの後半に向け、ノリスがタイヤの使用履歴が若いというアドバンテージを活かして好ペースで走り、フェルスタッペンとの差を詰める……そんな展開となった。