F1分析|ラッセルに抑えられなければ勝機はあった……悔やむノリス。F1スペインGPの上位ふたりのレースペースを検証する
F1スペインGPは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンと、マクラーレンのランド・ノリスによる、まさに精神戦となった。その勝負を決したのは、まさにスタート直後にあったようだ。 【ノリス王座の可能性もまだある!?】2024年F1ポイントランキング(スペインGP終了時点) F1スペインGPの舞台であるカタルニア・サーキットは、スターティンググリッドからターン1のブレーキングまでは非常に長い。それが、ポールポジションからスタートするマシンにとっては不利に繋がる可能性があるのだ。ポールポジションということは前にマシンがおらず、一方で2番手以下のマシンは前に何らかのマシンがいるためにスリップストリームを使うことができる……そのため、ターン1の飛び込みで順位が変わる可能性が大いにあるのだ。 今回のレースもまさにその典型的な例だった。予選でポールポジションを獲得したノリスは、フェルスタッペンを抑え込もうと、執拗に幅寄せ。フェルスタッペンは行き場がなく、コース外に右側のタイヤを落として砂煙を上げる、そんなシーンもあった。 ただこの2台の攻防の後方で、チャンスを伺っているドライバーがひとりいた。メルセデスのジョージ・ラッセルである。ラッセルは先頭の2台に対してターン1で大外刈りを決め、一気に首位に。2番手にはフェルスタッペン、ノリスは3番手までポジションを落とした。 その後、フェルスタッペンは3周目にラッセルを攻略することができたものの、ノリスはなかなかオーバーテイクできず、フェルスタッペンを逃してしまうことになった。レースの結果を見ると、まさにこのことが勝敗を分けたと言える。 結局ノリスは、ラッセルがピットインするまでオーバーテイクすることができず、結局フェルスタッペンとの差は最大5.5秒(15周目)まで開いた。 これが痛かったということは、マクラーレンのチーム代表であるアンドレア・ステラも認めている。 「ラッセルの後ろで失った時間は、あまりにも長すぎた。ターン1で失ったポジションとラッセルの後ろで失った時間。このふたつが(勝利を逃した)決定的な要因だったと言える」 ラッセルを攻略できなかったノリスだが、決してペースが無かったわけではない。実際ラッセルがピットインし前が開けた後のノリスは、レース序盤のフェルスタッペンを凌ぐペースで走ったのだ。