かつて日本に初めて上陸したスイス時計ブランドとは?
先陣を切る進取の精神によって時を超える
歴史あるマニュファクチュールであるジラール・ペルゴは、自社ムーブメントをエボーシュとして他社にも供給してきた。それは独立系の経営基盤を支える一方、分業を中心に成り立つスイス時計産業の一翼を担った。そしてその将来を見据え、先進技術にも取り組んできた。 1971年に発表したスイス初の量産クオーツ時計もそのひとつ。クオーツ市場は日本製に席捲されたものの、ここでジラール・ペルゴが設定した32768Hzの振動数はその後、世界標準として採用されたのである。 新作「キャスケット 2.0 チタン&ゴールド」は、76年に発表されたLED表示のデジタル時計を再現する。その名はハンチング帽を意味し、液晶面を覆う庇部分から時計愛好家の付けたニックネームが後に正式名称になった。そして一昨年の再発もまたファンの熱望に応えてのことだった。 復刻に当たっては、新たなムーブメントを初代モデルにも換装できるように設計している。いつまでも時計を愛用してもらいたいという願いとともに、先進的なスタイルは時を超えるのだ。 いまやブランドアイコンとなった「ロレアート」では、38mm径ケースのセージグリーンとミッドナイトブルーが新たに登場した。現在42mmを中心にしたサイズ展開だが、38mmの新作は22年のコッパーカラーに次ぐ。遡れば1995年にコレクション初の自動巻きを搭載したモデルが36mmであり、そのオリジナルのプロポーションに近づき、小降りサイズも注目度が高い。ロレアートに関しては、来年50周年を控え、意欲作を準備中とのこと。期待はさらに高まる。 今後の展望を語るプルニエの腕にあったのは「ネオ コンスタント エスケープメント」。 「いちばん気に入っているのは、常に私にブランドのコミットメントを思い起こさせてくれることです。それは、ジラール・ペルゴの本領はやはり複雑時計ということ。これも20年間かけて開発し、独創的な技術と機能を両立し、しかもコンテンポラリーです。7日間安定したトルクは心拍のように感じ、エコロジー発想に基づく省エネ設計でも私たちは先陣を切ってきたと思います。常に先端を行くという、それがラグジュアリーウォッチではないでしょうか」 ソーウインド ジャパン TEL:03-5211-1791
文:柴田充