飲食業界に見切りをつけホストクラブの広報に転職…歌舞伎町で、夜だけ営業するケーキ屋店主の描く未来
「SNSでいろんな企業とか飲食店さんをサポートしていくうちに、ふと思ったんです。自分でお店の経営をしていないのに『こうすれば売り上げが上がりますよ』と言っても、事業者さんからしたら机上の空論だなと。それで『自分もお店をやろうかな』と思って、前からやりたかったケーキ屋さんを立ち上げました」 ◆「楽しく働けること」を何よりも大切にしながら、「あったらいいな」を次々と実現 12月はクリスマスもあり、ますます大忙しのショートケーキ・カンパニーだが、今後、岳野さんはどんなことがやりたいのだろうか。 「お店の1階下が旧店舗なんですけど、まずはそこを改装してショーケースを置き、テイクアウトショップにしようかなと。お店で提供しているケーキは生クリームが繊細なのでテイクアウトはできないんですよ。でも、食べたあとに『おいしいから買って帰りたい』という方が多くて。クリームの配合を工夫して、テイクアウトできるケーキを考えたいと思っています」 やる気はあるのに職場環境が合わなくて断念した人たちが生き生きと働く様子を見てきたことから、ケーキ以外でも何かお店を作りたいという気持ちも強くなった。 歌舞伎町以外では、住宅地でドッグカフェを開くことも検討中だ。ヨーロッパでは犬を連れてスーパーに入れるし、電車にも乗れる。三つ星のレストランでも『子どもはダメだけど犬はOK』というところもある。でも日本では、ドッグカフェといってもテラスのみというところが多い。 「私自身、犬を飼っていて。テラスみたいな寒いところでご飯食べたくないですよね。私が住んでいる地域はカフェすらないからみんな犬を連れてただ散歩してるだけ。ちょっとひと息つけるような場所を作ったら、めちゃくちゃ流行るだろうなと思って。 私は『ここにこういうのがあったらいいのにな』っていうのを作りたいんです。たぶんみんな感じることだと思う。ここにラーメン屋さんあったらいいのにな、ここにこういうお洋服屋さんあったらいいのにな、スーパーあったらいいのにな、とか。それをやるかどうかだと思うんです」 もしも来年、常々あったらいいのにと思っていたニッチなお店を見つけたとしたら、それは岳野さんの仕事かもしれない。 岳野めぐみ(たけの・めぐみ) ショートケーキ・カンパニー オーナー。株式会社緑多代表取締役。上級SNSエキスパート(一般社団法人SNSエキスパート協会)。SNS運用とコンサルティング、企業研修のエキスパートとして自衛隊や高島屋で講師を務める傍ら、飲食店・パーソナルジム・芸能人など、SNSの運用代行と顧問アドバイザーを多数務める。「ミシュランガイド東京」銀座二つ星店の女将、歌舞伎町マーケティング広報を経て、SNSマーケティング起業。2021年8月に法人化。著書に『世界一やさしいTwitter集客・運用の教科書 1年生』 (ソーテック社) 取材・文:井出千昌
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