「子どもにはまだ早い…」と思いがちな親は見落としている!? “責任感のある子”に育てたいなら今すぐやるべきこと
まずは「お手伝い」から始めよう
ここまで「お手伝い」という言葉と「家事」という言葉が出てきました。この2つはまったく違った意味を持った言葉として使っています。 では、お手伝いと家事は何が違うのでしょうか。 ●お手伝い:評価(よろこんでもらう、ほめられる)のためにする ●家事:コミュニティ(家庭)の一員として、家庭運営のためにする パパが家事を「手伝う」と言うと、「『手伝う』なんて自覚がない!」なんて言われたりします。これは暗に「手伝ったんだからほめてほしい」というニュアンスが見え隠れするからです。 また、これは責任の所在の違いでもあります。よろこばれたい、ほめられたい、というのは自分以外に責任者がいることを示しています。そして、その責任者に評価されるためにやることを「手伝う」と言います。 一方の「家事」は、家庭の一員として、家庭運営のために行うものです。そこには責任と自覚が求められるのです。もちろん、家事だってよろこばれたり、ほめられたりしたらうれしいのは間違いありません。ほめ合うのも感謝を伝えるのも、大事なコミュニケーションです。ですがそれがなくても、必要に応じて行うのが「家事」です。 つまり「お手伝い」は他人事。「家事」は自分事と言えます。 子どもが家事を通じてチームの一員になるには「お手伝い」から「家事」へステップアップしていく必要があります。そしてこのステップアップは、家事を学び、自立する力を身につけるステップでもあるのです。
子どもの年齢に応じてお手伝いをしてもらう
産業技術総合研究所とミサワホームが行った「子どもの行動特性調査〈お手伝い〉」では、子どものお手伝いを年齢別に4段階に分けています。 ●1~2歳 お手伝い開始期:安全・安心で簡単なものから覚え始める ●3~4歳 お手伝い色々チャレンジ期:遊びの一環として楽しみながら増え始める ●5~6歳 お手伝い発達期:火や家電等の高度な道具を使い始める ●7~8歳 家事分担移行期:家族の一員としての役割を持ち始める お手伝い自体は1~2歳から始めることができます。この時期であれば調理で何かを混ぜたりこねたり、レタスをちぎったりするのも楽しみながらできるでしょう。 3~4歳になると、とにかく「やってみたい!」と言い出します。お手伝いは「やりたいときが、学びどき」です。散らかしてしまったり、むしろ手間が増えてしまうかもしれませんが、「やってみたい」の気持ちを尊重して、「よろこんでもらえた」という充足感を味あわせてあげましょう。 忙しいときはミニトマトのヘタを取るとか、テーブルの上を布巾で拭くとか、お箸を並べる、靴をそろえるなど、失敗してもリスクが低い(親も笑っていられる)お手伝いをチョイスします。 5~6歳にもなれば、色々なことができるようになります。包丁の練習を始める子も多くなってきます。ピーラーで皮をむいたり、自分のおもちゃを片付けたり、タオルや洗濯物をたたんだりもできるでしょう。 早いご家庭ではもっと小さい頃からお手伝いをやっていますが、5~6歳くらいからお手伝いを始めるという人が多いかもしれません。子どものやりたい気持ちを促しながら、少しずつ教えていきましょう。 7~8歳になると、少しずつ自立を促していけるようになります。 「自分のことは自分でやる」を身に着けていく時期です。また、自分の役割として「トイレ掃除」など担当を持てるようになります。小学生も、年齢が上がっていくと習い事や勉強で忙しくなってきます。忙しくなってから家事習慣を身につけるのは、子どもにとっても負担が大きいでしょう。なので、まだゆとりもあり、やりたい気持ちもある低学年のうちに、色々な家事に触れさせてあげるのがおすすめです。 9歳以上になれば、立派なチーム家事の一員になることができます。親が何でも面倒をみてあげるフェーズから、「自分のことは自分で責任を持ってやる」フェーズに入っていきます。親のサポートを減らしていくほど、失敗も目につくようになりますが、この失敗が大切な経験となります。「失敗する→学ぶ」というトライアンドエラーを支えてあげましょう。