同僚を次々と退職させるモンスター社員、注意した上司に「おまえがクビ」と逆ギレ…対処法は?
●「会社の義務違反にもなる」
──相談者としては、処分を求める以外の手段は何かあるのでしょうか。 相談者にとっては、問題社員を懲戒解雇できるかどうかより、自分にとっての負担となることが問題なのだろうと思います。とすれば、問題社員に適切に対処してくれない会社の対応の問題として考えるべきだと思います。 会社には「労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする」という安全配慮義務があり(労働契約法5条)、その一環として、職場環境調整義務もあることは一般に認められています。簡単に言えば、「働きやすい職場環境」を整えるようにする義務、ということです。 問題社員に適切に対処せずに、上司である相談者に問題社員への対応を丸投げしたりしていれば、会社の義務違反にもなるでしょう。 相談者としては、むしろ、会社に対して安全配慮義務・職場環境調整義務として問題社員への適切な対処を求めるべき問題です。きちんと記録に残る形で、「私だけでは対処しきれないので、会社として適切に対処してほしい」と会社に求めるべきでしょう。 【取材協力弁護士】 加藤寛崇 (かとう・ひろたか)弁護士 東大法学部卒。労働事件、家事事件など、多様な事件を扱う。労働事件は、労働事件専門の判例雑誌に掲載された裁判例も複数扱っている。 事務所名 :みえ市民法律事務所 事務所URL:https://miecitizenlaw.com/