60代女性が海外ひとり旅デビュー。勢いに任せ申し込んだイタリアのツアー、着く前から越えねばならぬ壁が幾重にも…
観光庁が発表した、令和5年の訪日外国人旅行者数・出国日本人数の推移によると、2023年の人数はそれぞれ2,507万人・962万人と、コロナ禍前の状況に戻りつつあります。円安や猛暑などの影響で外出を控える人も多い中、旅行での新たな出会いには、いつの時代もワクワクさせられるもの。近年では一人旅を計画される人も多いのでは。家族とも、友人とも離れ、旅をしたい。しかし、一から準備し、決行するのはハードルが高いもの。佐々木好子さん(仮名・神奈川県・主婦・75歳)は、手始めにひとりでツアーに参加してみると、寂しさよりも楽しさが優ったそうで── 【漫画版はこちら】 * * * * * * * ◆賽は投げられた、とばかりに 今思い返しても、よくぞ決断したものだ。それまでは、友人や娘などの後ろをひたすらついていく旅行ばかりだった。 実はイタリアに行ってみたいという夢があったのだが、同行してくれる相手がいない。海外旅行好きの友人はすでに行っているし、ほかの友人は海外が苦手。でも、国内旅行さえ人任せだった私が、ひとり外国を旅をするなんて、到底考えられなかった。 ところが、8年前の春の旅行シーズン、理想的なツアーを発見。行きたいと思っていた名所を一度で巡ることができる。個人では無理でも、ツアーなら何とかなるかもしれない。でも、団体旅行でひとりというのも、どうなのだろう? 申し込みの期限は迫っている。思い切って旅行会社へ電話をしてみた。「女性の1人参加の方はいますか」。それだけを聞くのに、胸はドキドキ。「今の段階ではいません」と言われてもなお、参加する度胸はない。しかし、日に何度もパンフレットを眺めては、諦めきれずにいた。 2、3日してまた電話。「1人、申し込まれました」との答えに、思わず、「では、私も参加します」と言ってしまった。「出発日が近いので、申込書が着き次第、大至急費用を振り込んでください」と手続きを促す声が迫ってくる。自分は何か、とんでもないことをしようとしているのではないか……。
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