元乃木坂46・中元日芽香さん「距離感を心地よく感じるのは、人に依存していないから」
大切な相手だからこそ、自分軸で距離感をコントロールするべき
――相談者さんに特に20代後半からの方が多いのは、ライフステージの変化により悩みがパーソナルな内容にシフトすると、人と共有しにくくなり、一人で抱え込んでしまうからと分析されていましたね。yoi読者も、「友達とわかり合えなくなってきた」という悩みを抱えている方が多いようです。中元さんも、そういった悩みはありますか? 出産や子育てなどで体調やライフスタイルが変わりやすい、女性に顕著な悩みです。同じ年齢でも、仕事に熱中している人と子育て真っ只中の人では、話したいことも聞きたいこと、かけてもらいたい言葉も違う。どちらが悪いわけでもなく、単純に意識の向いている方向が違うんです。 でも、そのような状況で「気が合わないから関係を切る!」としなくてもいいのが、友情のよさだとも思います。相手が家族やパートナーである場合は、生活を共に続けるためにも話し合いが必要不可欠。一方で、もともと距離がある友人とは距離も時間も置きやすい。転校や転勤で長らく会えなかった友人と、再会してすんなり元の関係に戻れた!という経験はありませんか? 少し時間を置いてみて、また話したいと思ったときや、お互いに似た境遇に戻ったときに縁を繋ぎ直すのもアリだと私は思います。 私は乃木坂46のメンバーとは今でも友達ですが、継続して連絡を取り続けている子もいれば、数年に一度ご飯に行く子、用事ができたタイミングで会う子など、距離感はさまざま。距離が近い子ともお互いの都合で会えない期間が続くこともあります。それを心地よく感じられるのは、私自身友達に依存していないことが大きな要因です。 友人関係に限らず他人に依存しないことは、健やかな精神状態を保つ上で大切なこと。会いたいときに会いたい人と、話したいことがあるときに話をしたい人と会う。シンプルですが、そんな関係がベストではないでしょうか。無理をして話を合わせたり作り笑いをしたりすると、それはきっと相手にも伝わります。大切な友達であればなおさら、自分軸で関係や距離をコントロールすることが、よい関係を保つことにつながると思っています。 ――相手が大切だからこそ、自分軸で距離感をコントロールする、という考え方にハッとしました。それには、自分の思いを相手にうまく伝えることも大事なのかな…と思いますが、相手にどう思われるのかを気にして、なかなか自分の思いを伝えるのが得意ではないという方も多い印象です。 わかります。実は私も相手の受け取り方を気にして、言いたいことを秘めてしまうタイプ。些細な会話やLINEでのやり取りですら不安で「あの言い方は良くなかったな」などと毎晩、一人反省会をするほどでした。どんなに注意して言葉を選んでも不安はなくならず、そんな自分が嫌で嫌で…。でもあるときから、「私の性格上、気にしないなんて無理なんだ!」と諦めるようになりました。 そう思えるようになったきっかけは、気持ちの切り替え。考えてしまうのは辞められない。でも考えすぎてしまう私ならば、相手の地雷を踏むようなことや、傷つけるような言葉を言わないだろう。相手にモヤモヤさせてしまうくらいなら、自分がモヤモヤしているほうがまだいいよね。そう思ったら、抱えてしまう自分を嫌悪することがなくなりました。 カウンセラーとして改めて思うのは、言葉を選んだり相手に気を遣ったりすることは決して悪いクセではないので。「相手がどう思うか不安で何も言えない」と表現するとネガティブに聞こえますが「相手のことを考えた上で言葉選びができる」と言うとポジティブに聞こえませんか? そういった方の多くは、相手の痛みがわかる優しい人。その優しさを、少しだけ自分に向けてあげてほしいなと思います。 ただ、気遣いや優しさが素晴らしいことでも、言わずに我慢しすぎて壊れてしまう人間関係もあります。それを防ぐためにも自分を理解してほしいパートナーや家族などの近しい人には、時々あなたの意思を伝えることも大切です。それにより仮に相手が気分を害して離れてしまったとしたら、その人とは、そもそも相性が合わなかったのでしょう。自分にとってストレスを与える人と離れる、いいキッカケにもなるかもしれません。