高齢化で増える認知症 “特徴的な行動”背景には不安が…数値化し分析・症状改善へ
佐藤さんは、ここに入居した去年夏には、この数値が32ポイントでしたが、職員が耳の聞こえにくさに配慮してケアをしたところ、今年3月にはわずか3ポイントにまで改善。しかし、8月には再び14ポイントになっていました。 その背景として、新しい職員が来たことや戦争の報道を多く見聞きして不安が増したのでは、と推測されました。職員が「自分たちができることは何か?」を議論した結果、佐藤さんは左耳のほうが聞こえやすいのではと仮説をたて、左耳にむけて話すよう、職員全体で徹底。すると、約1か月後の9月13日、2ポイントにまで改善していました。 このプログラムには、困りごとの原因を探るための質問もあります。食事や水分量は足りているか、排便、視覚、聴覚、血圧についてや呼吸は苦しそうか? 体の痛みがありそうか? 処方薬の見直しは? といった項目に、職員が答えていきます。 今回の会議では、佐藤さんの困りごとは特に排尿と聴覚だと確認でき、職員たちは、左耳への語りかけと声のトーンも低めにすることを続けようと確認していました。 深澤拓也さん 「落ち着いてこられたと数値でも出ているので、わかりやすいし、ご本人の様子をみても、はっきり改善がわかるので、このシステムが導入されてよかったなという感じですね」 勝俣洋子さん 「数値で視覚化できるので、介護職員が当たり前のようにおこなっているケアについて、これでいいんだとか、この方が求めていたのはこれだったんだと確認でき、自信を持てるので、このプログラムはすごくありがたい」「左耳への語りかけというと、大きいことではないんですが、そうした細かいことを観察していくことかなと。何に困っているか、ご本人もわからない場合もありますし」「思いがけない原因が思いがけない行動を起こすということがありますので、その原因が何かというところを私たちが見極めていく、ご本人の一番困っているところをうまく私たちが助けてあげれば、お気持ちも落ち着いていくと考えています」