「安倍元首相すらしなかった」参院人事が自民党内に波紋…石破内閣は岸田元首相の “傀儡” いびつな権力構造とは
首相指名選挙が予定されている11月11日の臨時国会の開幕を前に、自民党は体調不良などを理由に辞任の意向を示している尾辻秀久参院議長の後任に、現在、参院議員会長を務める関口昌一氏を推すことを6日の総会で決めた。 【写真あり】参院議長に就任する予定の関口昌一議員 一方、空席となる参院議員会長の座は、関口氏の指名により、武見敬三前厚生労働相に決まった。尾辻議長の急な辞任表明があったとはいえ、自民党内では少なからずハレーションが起きているという。自民党関係者がこう明かす。 「まず、武見さんが就任する参院議員会長が、指名で決まったということが問題です。これは異例中の異例なんですよ。自民党では、議員が選挙で選ぶ党の役職は、総裁と参院議員会長だけなんです。 投票権があるのは参院議員だけなので、いわば参院の独自性を象徴する制度です。“1強時代” と呼ばれた安倍晋三元首相の時代ですら、安倍元首相が推していた橋本聖子さんは2016年に選挙でやっと選ばれましたからね」 むしろ、時の首相の意に反する人物が就任することもある。 「安倍さんが総裁選に立候補した2012年、『安倍さんは終わった人』と発言したことが仇となり、後に政治生命を絶たれた、溝手顕正氏が、2013年に就任しました。 いずれにせよ、今回の指名で決定というのは、安倍元首相すらしなかった大事件なんです」 なぜこのようなことが起きたのか。政治部記者は背景にある強烈な “論功行賞” を指摘する。 「武見さんを無理やり参院議員会長にしたというより、新議長になる関口昌一氏に “恩を返す” ため、後任人事を任せたということでしょう。 関口氏は旧茂木派ですが、岸田文雄前首相の派閥解消に応じ、小渕優子氏らとともに旧茂木派を離脱。先の総裁選では、いち早く石破茂首相への支持を明らかにしています。 総裁選中も、旧安倍派の議員が多い参院自民党をまとめました。こうした一連の “奉公” に報いるということです。当選回数は5回あるものの、閣僚経験はありません。こうした人が議長になるのも異例ですね」(政治担当記者) 本来であれば、参院議長の座は中曽根弘文議員が務めるのが筋だったという。 「当選回数でいえば、8回の山東明子さんに次ぐ、7回の中曽根弘文さんが順当でした。ところが、中曽根さんは総裁選で高市早苗さんの選対本部長を務めていました。“敗軍の将” として、排除されたということでしょうね」(同) 自民党の主要なポストは、石破茂総裁を支えた旧岸田派に支配されつつある。 「選対委員長には、木原誠二さんが決まりました。留任した参院幹事長の松山政司さんも含めて、官房長官、政調会長、選対委員長と主要ポストがすべて旧岸田派になりました。やはり、石破内閣は岸田元首相の “傀儡” なのだとわかります。 安倍政権時代は官邸が強大な権力を握り、党本部は力を失いましたが、いまは真逆ですね。文字どおり、岸田元首相がキングメーカーとして君臨しているのです」(同) どこかで歪みが出るのは間違いなさそうだ。
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