高齢化で増える認知症 “特徴的な行動”背景には不安が…数値化し分析・症状改善へ
日テレNEWS NNN
16日は敬老の日です。高齢化で増える認知症。認知症の人のさまざまな行動の背景には不安などがあるとして、それを取り除くことで行動を改善する取り組みを取材しました。 【図解】3人に1人が“認知症”危機?──増える「前段階」とは 40代から対策を…麻雀、食事の“変化”にも効果 佐藤さん(93・仮名) 「すそのね、縫い目があるでしょ、横の。そこをあわせるの」 東京・文京区にある特別養護老人ホーム「文京小日向の家」(社会福祉法人奉優会)。ここで暮らす93歳の佐藤さん(仮名)は認知症ですが、洗濯物をたたむ役割を担い、職員との会話もはずみます。 文京小日向の家 ケアマネジャー・勝俣洋子さん 「ありがとうございます。きょうもたくさんやっていただいて」 実は佐藤さん、ここに入居した去年夏は食事も水分もとらず、職員を困らせたといいますが、ある取り組みで生活が落ち着きました。 その取り組みは、東京都が進めている「認知症ケアプログラム」(日本版BPSDケアプログラム)です。BPSDとは「認知症の行動・心理症状」のことで、具体的には暴力、暴言、徘徊、抑うつ、不安、幻覚、睡眠障害などです。 こうした行動や症状は「問題」だととらえられ、周囲は、行動そのものを変えさせようとしがちですが、背景には、不安や困りごとなどがあり、行動や症状はそれを表す「SOS」のメッセージなのだというのが、このプログラムの考え方です。そのメッセージを読み解き、背景にある不安などを取り除くことで行動の改善をはかります。
このプログラムは、まず、認知症の人を観察し、不安や興奮などの行動心理症状を「数値化」するのが特徴です。その後、背景にあるニーズを「分析」。次に、不安を取り除いたり、ニーズを満たしたりするための「ケア計画」を作って「実行」するのが一連の流れです。定期的な職員の会議で再度「数値化」し、そのケアが適切だったのかを振り返り、ケア計画を練り直す、を繰り返していきます。 評価会議をみてみると…。 勝俣洋子さん 「その利用者さんは、『自分が家族にとってお荷物だ』とか、『自分はいないほうがいい』などといいますか」 介護職員・深澤拓也さん 「最近はないですね」 東京都医学総合研究所が考案した質問に、介護職員が日頃の観察をもとに答えていきます。それを専用のシステム(DEMBASE)に入力すると、行動心理症状の総合点が出ます。質問には、不安や妄想、うつ、不快などの項目があり、「利用者さんは泣きますか」「その頻度は?」などと細かく聞いていきます。