「私はビビり」経営の神様の意外すぎる素顔…小心者をバカにする人は「100%仕事ができない」と断言できるワケ
● 楽観的に構想し、悲観的に計画せよ 《楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する》 《天は私たちに無限の可能性を与えているということを信じ、「必ずできる」と自らに言い聞かせ、自らを奮い立たせるのです。しかし、計画の段階では、「何としてもやり遂げなければならない」という強い意志をもって悲観的に構想を見つめなおし、起こりうるすべての問題を想定して対応策を慎重に考え尽くさなければなりません》 (稲盛和夫 OFFICIAL SITEより) 稲盛氏はすべての場面で恐れおののき、びびり上がっているわけではない。上記フィロソフィーでいうところの計画の段階において「起こりうるすべての問題を想定して対応策を慎重に考え尽く」すという点で、尋常ではない慎重さを発揮すると言うことになる。 冒頭の稲盛氏の言葉の後にはこう続く。 《私はもともと大変に怖がりな性格で、俗っぽく言えば“びびり“です。それだけに会社を潰すことが怖くて怖くてたまらなく、なんとしてもこの会社を守っていかねばならないと必死になったのです》 《その後、どんどん成長して会社が立派になり、東京証券取引所に上場するようになっても、まだ心配で心配でたまりませんでした。そうした会社を守らなければという思いは、零細企業のときからずっと変わっていません》 (雑誌プレジデント)
● なぜ企業はリスクを軽視するのか? こうしたリーダーの心配性については、経営学や心理学でも盛んに論じられてきたところだ。 現代経営に心理学のアプローチを用いた著名な学者・ダニエル・カーネマンは、1993年の論文『臆病な選択と大胆な予測:リスクテイクに関する認知的視点』で、リスクを取る時に人がどのように考えるかを研究。以下のような分析を得たと言う。 《人は未来を予測する際、過去のデータや実績を無視して、自分のプランやシナリオに基づいて判断しがちです。これにより、過度に楽観的な見通しが生まれ、実際には達成困難な目標を設定することがあります。たとえば、企業が新製品を発売する際、成功する確率を過大評価し、リスクを軽視してしまうことがあります》 《逆に、リスクを取る際には、未来のチャンスを過小評価し、目の前の危険に過度に反応することもあります。たとえば、ビジネスで大きな利益を得るチャンスがあっても、その損失の可能性ばかりに目を向けてしまい、行動を起こせなくなることがあります》 《ビジネスの世界では、リスクを取ることで大きな利益を得られる可能性がある一方で、そのリスクが大きすぎると、逆に損失が発生する可能性もあります。このリスクと報酬の関係を慎重に分析し、バランスを取ることが重要です》