優しくしてくれるから、つい…〈年金月20万円、預貯金1,500万円〉堅実に暮らす71歳・元消防士の度重なる「家賃未払い」。駆けつけた息子が目にした「あまりに奇妙な光景」【CFPの助言】
熟年離婚も珍しくなくなった昨今。厚生労働省の「令和4年度離婚に関する統計の概況」によると、同居期間が20年以上のカップルの離婚割合は上昇傾向にあり、令和2年度には離婚カップル全体の21.5%に達しています。離婚後に人生が好転する人もいれば、そうではないケースも少なからずあるでしょう。老後を「こんなはずじゃなかった……」としないための方策を、CFPでFP事務所MIRAI代表の山﨑 裕佳子氏が解説します。 都道府県「おひとり様高齢者率」ランキング…
退職と同時に「円満離婚」した71歳・元消防士
市川マサオさん(仮名:71歳)は高校卒業後、幼い頃からの夢であった消防士となり地元の町で働き始めます。 25歳のときに中学の同級生と結婚。一男一女を育て上げました。夫婦仲は悪いというわけではなかったものの、社交的な妻と内向的なマサオさんとの価値観の違いが長年の間に徐々に深まり、60歳の定年を機に離婚する決断をします。 子どもたちはすでに独立していて、2年前には両親も相次いで他界しています。マサオさんは、やっと重い荷物を下ろせるという気持ちとなり、一から第二の人生を始めるのも悪くないと考えたそうです。 いわゆる円満離婚です。
持ち家と資産の一部は財産分与で元妻へ
婚姻期間中、マサオさんの妻は、パート勤めで家計を助け、家事や育児も人並み以上に頑張ってきました。 法的には、婚姻中に築いた財産や負債はその名義にかかわらず共有の財産とみなし、半分ずつ分け合うとする原則があります。ただ、二人の合意があれば、財産分与は任意の割合で構いません。 マサオさんの資産は、家と退職金を含めた預金が2,500万円です。住宅ローンは完済しており、その他の負債はありません。二人は協議の上、預貯金のうち1,000万円と家を妻が取得し、マサオさんは1,500万円をもって隣市にマンションを借りて暮らすことになりました。 マサオさんの暮らしは老齢年金が支えていくことになりますが、マサオさんは妻への年金分割にも合意しているため、年金受給額は月20万円です。
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