大阪~四国が“最短距離” 便利すぎる「紀淡連絡道路」いつ完成? 淡路島まで「たった4km」海峡ルート誕生を阻む「最大の障壁」とは
淡路島まで「あとちょっと」の部分に新ルート!?
大阪府・和歌山県境の突き出した部分から、淡路島へ直結する、新たな道路「紀淡連絡道路」という構想があります。 実現すればどう便利になるのでしょうか。また話はどこまで進んでいるのでしょうか。 【画像】超便利!? これが「紀淡連絡道路」の計画ルートです(29枚)
近畿地方の地図を見ると、大阪市から下りてきた海岸線は西へどんどん突き出していき、もう少しで淡路島へ手が届きそうになっています。 ここは「紀淡海峡」と呼ばれる狭窄部で(読みはKITAN)、和歌山市加太と洲本市由良は11kmしか離れていません。しかもあいだには友ヶ島や地ノ島があるため、海を超える最大離隔はわずか4km程度。これは明石海峡大橋と同じ長さです。 もしここに道路ができれば、大阪府や和歌山市周辺が丸ごと四国へ直結されることとなります。特に関西国際空港から鳴門まではわずか80km程度で結ばれることとなり、日本到着から2時間もあれば四国各方面へ到達可能となります。 さらに行楽シーズンなどで明石海峡大橋と第二神明道路など周辺部は破滅的な渋滞となります。あまりにも果てしない渋滞が共通認識になっているため、四国旅行が敬遠される大きな理由のひとつでもあります。「紀淡連絡道路」はそこへ第2ルートを提供するもので、単純計算で交通量を半減させる効果をもたらします。 くわえて紀淡海峡には鉄道を通す構想もあります。明石海峡大橋では果たせなかった「近畿~四国直結鉄道」の実現にも期待がかかっています。 さて気になる進捗ですが、国土交通省が2021年に策定した「新広域道路交通計画」にもリストアップされ、地図上にはグレーの丸が連なって、「紀淡海峡連絡道路」の仮想ルートが描かれています。 1992年に関係自治体で「紀淡連絡道路実現期成同盟会」が結成され、要望活動が続けられています。 しかし、事業化への第一歩となる概略ルート選定の「計画段階評価」は、まだまだ遠い段階と言わざるを得ないでしょう。特に目立った動き、具体的には調査検討が進んでいません。 実は、国は2008年に海峡横断プロジェクトの個別事例について「調査は行わない」という方針を示しているのです。まずは国がこの方針を撤回するか、もっともな理由をつけて例外措置をとらない限り、紀淡連絡道路はこれ以上の前進は無いと言ってもいいでしょう。先述の期成同盟会も、2010年に主要都市の徳島市が脱会し、総会も2021年度で止まっています。 もっとも、いったん凍結を撤回すれば、そこからは一気に話が進むことになります。東京湾沿いに東京~千葉をむすぶ「新湾岸道路」も、長らく夢物語だったのが、今やトントン拍子に概略ルート決定プロセスに乗っています。 関西では道路の大プロジェクトが目白押しで、「新名神(大津~高槻)」や「5号湾岸線 湊川延伸」「淀川左岸線 新御堂筋・門真延伸」「名神名阪連絡道路」などがどんどん動いています。 これらがある程度一段落すれば、紀淡海峡ルートも機運が高まってくるのかもしれません。いずれにせよ、道路整備には地元や国県が「いつか実現させたい」と願うことが重要で、整備の優先順位を勝ち取るための動きも、各地で水面下で続けられています。
くるまのニュース編集部