子どもと大人で異なる「すきっ歯」のとらえ方 「歯並びだけにこだわるのは卒業を」と矯正歯科医が指摘する理由
歯が小さく、いわゆる「すきっ歯」と呼ばれる歯並びの筆者。少しコンプレックスを抱いていますが、歯の間に挟まる物も大きいので、すぐとれるというメリットも。成人の場合、歯の間に隙間がない状態が正常だといいます。すきっ歯とどう付き合えば良いのか取材すると、成人とは違って、子どもの場合は「すきっ歯が理想的」だという話も出てきました。 【写真を見る】3歳半ごろの理想的なかみ合わせと歯並び 永久歯6本が先天的に欠如している症例も 「乳歯(子供の歯)」の表記 ■永久歯になった時に入りきらない? 実は「理想的」なすきっ歯 子どもの場合のすきっ歯は「みにくいあひるの子の時代」(Ugly Duckling Stage)と呼ばれることも。もし子どもがすきっ歯だった場合、早めに矯正した方が良いものか筆者も日々悩んでいます。 どう対応したらいいのか。すきっ歯について聞いたのは、いなげ矯正歯科医院(横浜市青葉区)の稲毛滋自さんです。 開口一番、稲毛さんは「子どもの時は歯と歯の間に隙間があるのが理想的」と強調します。見栄えだけを考えるときれいに詰まっていた方が良い気がしますが、なぜなのでしょうか。 稲毛さんは「なぜなら乳歯の後ろには、それより大きい永久歯が控えているからです。乳歯ですでに隙間がないと、永久歯になった時に入りきらないことがあり、不具合が出ます」と解説します。乳歯の段階できれいな並びにしたとしても、生え変わった時にまた、でこぼこになる可能性もあります。 ■隙間がある子どもはそれほど多くない 肌感覚と調査で見るその割合 子どものすきっ歯を心配して受診しに来る人もいますが、むしろ自然なすきっ歯であることは「素晴らしい」と稲毛さん。子ども時代は誇って良い歯並びです。 ただ、稲毛さんの肌感覚としては、隙間がある子どもは1割ほどだといいます。厚生労働省の2016年の「歯科疾患実態調査」によると、12~15歳ですきっ歯の人の割合は10.5%、16~20歳では10%にとどまっています。 その理由として、稲毛さんは「受け皿となる顔が細くなっている一方で、歯の大きさは大きくなる傾向にあるため」といいます。