子どもと大人で異なる「すきっ歯」のとらえ方 「歯並びだけにこだわるのは卒業を」と矯正歯科医が指摘する理由
また、乳歯のすきっ歯は、生え変わる頃には自然と隙間がなくなることが多いです。 ■大人のすきっ歯は注意 矯正の本来の意味「歯並びだけにこだわるのは卒業を」 話は変わりますが、筆者のような成人のすきっ歯には気をつけなければいけません。 成人のすきっ歯の場合、基本的には、歯の数や大きさに問題があり、定期的にメンテナンスをして経過を観察する必要が出てきます。 では、どのくらいのタイミングから矯正を意識し始めると良いのでしょうか。早ければ早いほど良いと考える人もいるかもしれません。稲毛さんは「いつ始めるのかを判断するのが矯正歯科医の役割」と話します。 まず、極端な例になりますが、乳歯が生えそろうとされている3歳半ごろに始めるのはやめた方が良さそうです。「多くの場合、その年頃に装置を入れて矯正治療をすることは、子どもにとって多大な苦痛を伴うものです」と稲毛さんも同調します。 さらに、早い時期に始めたからといって早く終わるとは限らず、10年といった期間がかかることもあります。単にちょっとでこぼこしているといった程度では、生え変わりの様子を見守ってからの方が良いです。もちろん、噛むのに問題がある場合にはその限りではありません。 一方、小学生になった頃にレントゲンを撮ると、埋まっている永久歯の数や何本欠けているかも分かり、対策がとりやすくなります。ということで、「矯正を始めるのは、上下の顎の骨格的な問題や、かみ合わせの問題がなければ、12歳頃になってからで良いのではないでしょうか」と稲毛さんは話します。 最後に、稲毛さんは「歯並びだけにこだわるのはもう卒業してほしい」と言います。 本来、「矯正治療」はかみ合わせを正常にするもので、歯並びはそのオプションに過ぎないそうです。きれいに並んでも、「開咬」(奥歯を閉じても前歯の上下に隙間ができる状態)などでうまく噛めない人もいます。 きれいに歯が並ぶのと、上手に噛めるかは別問題ということを意識して、自分の歯と付き合っていきたいと思います。
◇ 取材:TBSテレビ デジタル編集部・影山遼
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