東出昌大「『なるようにしかなんねぇ』で“大人”をやっているだけ」。就活生に求められる「信念」を、面接官は果たして持ち合わせているのか?
信念をもった大人なんて5%もいない
──相談者さんは「東出さんのように『私はこれを選んだんだ!』という、自分の信念を持って生きる人をとても尊敬していてかっこいい大人だと思います」とおっしゃっています。 東出 いや、大人なんて「なるようにしかなんねぇ」でやってるだけなんです。なあなあでやってきたら、それなりに飯が食えてるだけ。東出自身も「私はこれを選んだ!」なんて胸を張って言えるわけでもなく、「なんかワンチャン行けんじゃねえかな」って楽しそうなほうに流れてきただけなんです。 就活でも、面接官はさも偉そうに見えるかもしれんけど、選んでいる側の大人にも、大それた信念なんてないことがほとんどなんじゃないかな。社会人として経験を積んで、それっぽく振る舞えてるだけで。そしてそれは全然悪いことじゃなくて、むしろそれが大人になるってことなんだと思います。 ──たしかに大人なんてそんなもんですね。だからこそ相談者さんの抱える率直な悩みを面接の場でぶつけられたら、意外と心揺さぶられるかもしれない。 東出 そうそう。だから「自分には信念がない」なんて落ち込まなくていいんですよ。私の知る限り、信念を持ってる大人なんて、5%もいないんじゃないかな。そんななかで、この相談者さんは21歳にしてこれだけ内省して言語化できてるんだから大丈夫。「大人は立派」とかないです。マジでない。 ──この方が変わる必要はない。 東出 うん。今のあなたは十分、素敵だから。もうちょっとがんばらないといけない時期が続くかもしれないけど、今のあなたで間違ってない。この思いを持ち続けていたら、素敵な人にも出会えるはずです。たとえ就職できたとしても、すぐに別のやりたいことが見つかって辞めるかもしれない。そう考えると就活に全体重をかけて疲弊したり、ましてや自分が抱える悩みを捨ててしまうのは、もったいない。 ──就活に対してシリアスになりすぎず、半身で臨むことも大事ですね。 東出 どこで何が待ってるかわからないから。自分は何がやりたいんだろうって常に希求し続けながら、動けばいい。楽しいことはこれからまだまだいっぱいありますよ。
安里和哲