人工知能に負けない「トッズ」に勇気をもらい、「グッチ」のパパラッチ撮影に向かう
だからこそ、マッテオは自身のデザイン性よりむしろ、素材と、そこから洋服やバッグ&シューズを生み出す職人技に比重を置き、結果「トッズ」らしいクワイエット・ラグジュアリーに辿り着きました。ハリのあるコットンのプルオーバーシャツ、レザーで作るアノラック、ハリコシとシャリ感のある素材で作ったハイウエストのジャケットなどは、いずれもデザインは控えめですが、ゆえに素材の特性を生かしているように見えました。きっと、着る人の日常着として大活躍することでしょう。そして、蓄積してきたノウハウがいかんなく発揮されているから、賢そうに見えます(笑)。これ、すっごく重要です。このあたりも「職人知能」、英語では「アーティザナル・インテリジェンス」と銘打った理由でしょうか?
バッグでは、「トッズ」からもホーボーが出ましたね。最近、新作として見る機会が増えました。アイウエアケースもカワイかったな。
「マックスマーラ(MAX MARA)」や「トッズ」は過去、周りのブランドやトレンドに踊らされて右往左往した時期がありましたが、しっかり自分達の立ち位置を確立したようですね。
その後の「ヴァレクストラ(VALEXTRA)」も、今季は職人の手仕事にフォーカスしていましたね。植物タンニンを用いた手なめしのバッグは、鉱物タンニングよりも柔らかな風合いが魅力。2度染めのクロコダイルバッグは、ゆえに模様がハッキリと描かれ、ラグジュアリー感満載です。
新作は「ヴァレクストラ」らしい、プロダクトデザイン的アプローチのホーボーバッグ。曲線と直線がうまく同居しており、トレンディながら独自性のある一品に仕上がりました。
「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」は、Y2K時代に思いを馳せ、遊び心あるフレッシュなコレクションを発表しました。アクアやブルーはパールのように冷たくも甘く輝き、クールなシルバーを組み合わせると、気分は2000年ごろのフューチャリスティックです。大ぶりのスパンコールやリボンのディテールを加え、レトロガーリーならぬフューチャーガーリーなムードに仕上げました。どうしてもグラマラスなイメージが強いけれど、「ジミー チュウ」のガーリーも悪くないですね。