【百年料亭をめぐる】秀峰・津軽富士を眺めつつ、津軽の旬味を心ゆくまで堪能する
料亭 富士見館/青森県黒石市
富士見館は1895(明治28)年、弘前藩の支藩であった黒石藩の陣屋跡・御幸公園のすぐ下に、黒石で最初の料亭として開業した。 当時の黒石は地域の政治や商業の中心地であり、富士見館には大地主の旦那衆や議員たちが夜ごとに集い、町の重大な決定はすべてここで決められたといわれたほど。その後、昭和の初めには黒石に13件あったといわれる料亭も、今日まで歴史を重ねるのは富士見館のみとなった。
富士見館の名は、館内から一望できる岩木山、通称「津軽富士」にちなんだもの。春は桜、夏は清流、秋は紅葉、冬は雪景色と、四季折々の風情を見せる庭園に、趣ある建物が美しく調和する。傾斜地を生かして上の川から引いた流れは、庭内の滝や池を経て建物の中を通り、下の川へと繋がっている。池をまたいだ廊下に架かるケヤキの太鼓橋は、富士見館のシンボルだ。 日本海、太平洋、陸奥湾と三方を海に囲まれた青森県は、新鮮な魚介をはじめとする食材の宝庫。その日に市場で仕入れた旬の食材を使い、板前が腕を振るった料理を、有田焼の窯元から取り寄せた器で提供している。「大切にしているのは料理と施設の趣。日常の喧騒を忘れ、趣のある佇まいの中で、新鮮な旬の食材をゆっくりと味わい楽しんでいただけるよう、今後も料亭文化をしっかり守っていきたい」と、女将の大舘むつ子さんがその心意気を語ってくれた。 料亭 富士見館 【所在地】青森県黒石市袋井2-63 【電話】0172-52-8851 【営業時間】11時~22時(最終入店19時30分まで)※要予約 【定休日】不定休 【駐車場】約30台 ※「百年料亭」は百年料亭ネットワークの登録商標。百年料亭ネットワークは、古くからの日本料理を守り、また、それぞれの家風や仕来りを継承しながら、これからも地域の老舗として大いに飛躍する共に、お互いの交流や国内外からの誘客を促進し地方都市の活性化に資することを目的としている。