「1日200円の昼食代で資金を貯め、魚を釣って節約も」カヌー世界女王もマイナー競技は生活がカツカツ「でも自分が決めた人生は最高に楽しい」
── 釣った魚をさばいたり、山菜を調理したりすることは以前から行っていたのですか? 高久さん:以前は魚もまったくさばけませんでした。釣りを始め、何度も挑戦するうちに覚えました。カナダに遠征に行ったときは、ナマズやスモールマウスバスを釣っていました。泥くささもなくて、白身魚のうまみを味わえます。北海道でも川釣りをすることがあります。山菜も最初は見分けがつきませんでしたが、少しずつ食べられるものを学んでいきました。川の近くにはおいしいものがたくさんあるんです。
■海外ではテント泊「選手の家に泊まることも」 ── 先ほど、海外ではひとりでテント泊をすることもあるとのことでしたが、治安面で心配はないのでしょうか? 高久さん:私が行ったのは、川のアクティビティの設備が整った場所です。基本的にカヌーの練習を目的とした人しか訪れない場所だから、一般的なキャンプ場とは少し事情が異なると思います。もちろん、ひとりで泊まるのが難しい国や地域もあります。そういうときは民泊サービスを探したり、海外の試合で仲良くなった選手の家にホームステイさせてもらったりしています。今年はドイツで世界大会がありましたが、ジュニアの選手とそのお母さんと仲良くなって「一緒に練習したいから、ぜひカナダに来てほしい」と言ってくれたので、お邪魔させていただきました。
── 自宅に招かれるほど仲良くなるとは…!語学は得意なんですか? 高久さん:それがまったくなんです。学生時代、どうして語学の勉強をもっとしなかったんだろうと後悔しているくらい。英語もカタコトだから、日常会話もわりと厳しくて…。でも、海外の人は「この人は英語があまり得意じゃないんだな」と気づくと、ゆっくり話してくれます。 相手に不便をかけている部分はあるとは思うのですが、競技で知り合った仲間は、カヌーという共通の話題があります。文法をよくわかっていなくても、友人同士だったら冗談も言えるし、ジェスチャーと表情でなんとかなります。「スマイルとグッドサイン」は最強ですね。ドイツの世界選手権のときは、インドやバングラディッシュの選手とも仲良くなり、練習から帰ると手作りの食事をごちそうしてくれました。