「自衛隊OBのわりに知識が…」「陸自に肩入れするのでは」 中谷元防衛相にささやかれる“不安要素”
権謀術数渦巻く永田町で、信頼に足る仲間を得るのは難しい。その点、中谷元・防衛相には心強い相棒(バディ)の存在が。ところが防衛省・自衛隊では、その二人を危ぶむ声が広がっている 【写真をみる】「たしかに“俺サマ感”ある…」 中谷元防衛相がベッタリの政策参与「番匠幸一郎氏」
「あの人が大臣で大丈夫か」
防衛省担当記者が言う。 「番匠(ばんしょう)幸一郎元陸将ですね。石破茂政権発足からわずか1週間後、中谷氏が防衛相政策参与に抜てきしました」 中谷氏は威張らず飾らない人柄から、同僚議員だけでなく、防衛省・自衛隊関係者に“ゲンちゃん”との愛称で呼ばれることもあるという。 「中谷氏と番匠氏は防衛大学校の同期で、常に行動をともにする2人一組のバディだった間柄。親しさはつとに有名で、彼らが“強い絆を持つパートナー同士”であることに、防衛省と自衛隊の幹部は神経を尖らせているんです」 中谷氏の能力が不安視されているからだ。 防衛省幹部が声を潜める。 「自衛隊OBのわりに防衛政策や部隊運用、装備品などに関する知識や見識は決して深くない。“国の安全保障環境が厳しさを増す中、あの人が大臣で大丈夫か”との声もある。ゲンちゃんが防衛トップを務めるのは3度目ですが、過去の国会質疑や記者会見では、答弁内容を失念する場面が多かった。事務方が耳打ちして切り抜けていましたが、その点で成長はなかった」 親しみが込もっているはずの愛称についても、 「腹の中で、軽んじているところはあるでしょう」
大臣の威光をカサに……
それだけに政策参与の役割は重要で、中谷氏は番匠氏のほか半澤隆彦元空将も就任させていた。半澤氏も二人と防大の同期だが、 「半澤さんとゲンちゃんの関係はごく普通。メインはあくまで番匠さんですよ」 中谷氏が頼りにする番匠氏は、1等陸佐だった平成16年の自衛隊イラク派遣で第1次復興支援群長を務めたエリート。一貫して出世競争をリードしたが、平成27年に西部方面総監を最後に退官。以降は国家安全保障局顧問などの“名誉職”に甘んじてきた。 「番匠さんが陸自トップの陸上幕僚長の座を逃した最大の理由は持ち前の俺サマ体質。西部方面総監だった時、存在感をアピールしようと全国の方面総監を九州に集めて会議を開催したことも。全国5区域の指揮官を招集したわけで“防衛体制に穴を空けてどうするんだ”と問題視されました」 その番匠氏は根っからの“陸自至上主義者”とされる。再び防衛省担当記者。 「自衛隊は陸海空のいずれも定員割れや施設、装備品の劣化・不足に悩んでいます。来年度も防衛費が増額されますが、番匠氏には予算獲得の際に“大臣の威光をカサに陸の優遇をゴリ押しするのでは”との強い懸念が持たれています」 中谷氏は会見で、番匠氏らに「忌憚(きたん)ない助言を頂きたい」と“お墨付き”を与えた。この発言も、関係者の疑心をあおった。 「中谷氏が番匠氏に肩入れするようなことがあれば、統制や規律がゆがんで省内が混乱しかねません」
「週刊新潮」2024年10月31日号 掲載
新潮社