あわててNISA口座を作って「オルカンください!」という人が、じつは見落としていること
2024年1月から新NISA制度がスタートしました。金融機関に行けばパンフレットやポスターを見かけ、ネット上でも多くのニュースが流れたことで関心を持っている人も多いでしょう。そして実際にNISA制度を使った資産形成をスタートした人も少なくないはず。そこで今回は、つみたて投資のプロフェッショナルである、なかのアセットマネジメントの中野晴啓さんにお話を伺っていきましょう。まずは1月からの様子を見ていて、中野さんが思うことをお話いただきます。 【マンガ】「長者番付1位」になった「会社員」の「スゴすぎる投資術」の全容
新NISAは一定の成果を得た
インタビュアー 川崎さちえ(以下、川崎):2024年1月から新NISAがスタートしました。これまでを振り返って中野さんは何を感じていますか? (4月18日取材) 中野晴啓さん(以下、中野さん):昨年のうちに新NISAが話題になることも多く、実際に活用しようと動き出した人も少なくない印象です。すでに4ヶ月ほど経過しようとしていますが、今もなお関心を持っている人は多いのではないでしょうか。資産形成への社会的な関心を高めたという意味では、一定の成果があったと感じています。 川崎:ちょっとしたブームになったようにも思えますね? 中野さん:ブームになると、ますますNISA制度を活用する人が増えるので、それはそれでよいとは思うのですが、一方で懸念材料もあります。オルカンがあまりにも浸透してしまって、「NISA=オルカン」というようになってしまったことです。 オルカンとは「オールカントリー」の略で、全世界の株式に分散投資ができるインデックスファンドのこと。これ1本を買っていけば全世界に分散して投資ができます。しかも投資のベンチマークとなる特定の指標に連動しているので、わかりやすさもあるのでしょう。例えばYahoo! ファイナンスで投資信託の純資産残高を見ると「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は約3兆4000億円、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の約4兆5000億円についで多くなっています。注目したいのは資金流入が多いことです。ランキングのトップは「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」で、どんどんお金が入ってきていますから、それだけ人気ということでしょう(2024年5月18日現在)。