料理人・笠原将弘さん、シングルで育てた子どもたちとの「リアルな食卓」。家庭の献立にルールはいらない
料理は嫌いじゃないけれど、「毎日の献立を考えるのが大変」という声は巷にあふれています。献立の達人である料理家の笠原将弘さんは、家庭の献立にはルールは不要と語ります。そんな笠原さんならではの「献立」との向き合い方について教えてもらいました。 【写真)厨房に立つ笠原さん
子どもたちの料理に向き合う姿に思うこと
――20代の2人の娘さんたちは、家で普段から料理をするんですか? 笠原:2人とも意外としますよ。まぁ、自分が食べたいものをつくる感じなんで、パスタが多いですけどね。あとは、2人ともお金がないから、仕事にお弁当を持っていくんですよ。だから、お弁当用の常備菜なんかを夜中に動画を見ながらつくってますよ。 ――娘さんたち、マメですね。そんなとき、笠原さんも一緒につくったりするんですか? 笠原:たまたま仕事から帰ってそんな場面に出くわすと、「なにやってんの?」と一緒に動画を見たりしますね。いつも「味見してみてよ」と言われるんだけど、これがだいたい味がイマイチで(笑)。ちゃんと動画どおりにつくってはいるものの、肝心の「加減」がまだわからないみたい。 僕も「なんか違う」と思うと、手を出さずにはいられなくなっちゃって「もっと強火で煮つめてみろ」「もう少し塩を効かせた方がいい」とか、ついつい夜中に興奮しちゃうんですよね。「おい、冷蔵庫にあるあれも入れちゃおう!」とか言って、最終的には僕の味に変えちゃったり。どうせつくるなら、おいしいほうがいいですからね。 ――さすが、料理人の父親、ほほえましいエピソードですね。やっぱり娘さんたちには甘いんですね。 笠原:いつもはベタベタしませんが、料理に関してはゆずれないというか、おいしいものを食べてほしいという気持ちが強いんですよね。撮影がある日はいつも、「明日弁当いるか?」と家族LINEで聞くんですが、必ず2人から「いるいる!」って返事がきます。そういう日は自分の晩酌の用意がてら、撮影でつくったものを彼女たちのお弁当箱につめてあげたりしています。