「北海道新幹線、札幌延伸はいつ?」 計画の遅れで自治体はがっかり、企業はやきもき 現地からのリポート
2030年度末に札幌延伸開業を予定していた北海道新幹線は、工事の遅れが明らかになるなどして正式な開業年が不透明となっている。新幹線の延伸に合わせてまちづくりを進めようとしていた沿線自治体は、なかなか決まらない方向性に気をもんでいる。本稿では、現地から北海道新幹線の現状をお届けする。 【画像】工事が続く札幌駅西口、整備が進む札幌駅新幹線ホームなど(全5枚)
2016年に開業も、さまざまな課題があった
1973年、政府は全国新幹線鉄道整備法に基づき、新幹線鉄道の建設に関する整備計画を決めた。そのうちの一つに「北海道新幹線(青森~札幌)」がある。2005年4月には工事の実施計画が認可され、着工。2016年3月26日にまず新青森~新函館北斗区間が開業した。 ただ、開業に至るまでには、さまざまな課題があった。例えば、貨物列車との線路共用問題だ。 1988年に使用を開始した海底トンネル「青函トンネル」は、北海道と本州を結ぶ物流の大動脈ともいえるトンネルである。青函トンネルに北海道新幹線を通せば、貨物列車のダイヤにも影響が及ぶ。しかし、新幹線の速度を落とせば北海道から先の所要時間が増えてしまう。そのため、設計上の最高速度は260キロだが青函トンネルなどの「青函共用走行区間」では160キロ運転となっている。 とはいえ、2024年のGW・盆の時期に合わせて青函トンネル内での260キロ運転を実施しており、本稿執筆時(2025年1月3日)では年末年始にも実施する予定だという。またJR北海道は、札幌延伸開業時には最高速度を320キロにし、東京~札幌間を4時間30分で結ぶとしている。 並行して話題となったのが駅の名称問題だ。新函館北斗駅が所在するのは北海道北斗市で、駅名を「新函館」とするか否かで論争となった。当初は「新函館」が仮称だったが、立地する北斗市が難色を示して「北斗駅」「北斗函館駅」などさまざまな候補が挙がった 北海道新幹線の残り区間は、新函館北斗から札幌までの約212キロ。その区間では複数駅が開業する予定で、駅のデザイン案の選定も進む。