「反イスラエル」デモ、退学のリスクがあるなかで抗議を続ける理由「私たちの授業料が殺戮に使われていることは倫理的な問題」
◆警官が必ずしも“善”の立場にいるわけではない?
ラボメンバーは抗議活動に対するメディアの報道、もちろん警察にも強い不信感を抱いています。その理由について語ってもらいました。 ミクア:まず、この運動は暴力的だというのは誤解だと思う。メディアでは暴力の場面だけが流れて、平和的な場面や何も起こっていない場面は決して見せないでしょう? 当初、人々は話し合いをしたりシュプレヒコールを上げたりしているだけで、暴力は一切なかった。その後警察がやってきて一方的に暴力的に取り締まった。逮捕される人や地面に倒れている人のビデオを見ると、最初からそう(暴力的)だったかのように映るでしょう? 警察官はただ自分の仕事をしているだけって言うかもしれないけど、そうではなかった。特に多くのピープル・オブ・カラー、非白人のニューヨーカーは、警察に対してかなり敏感に反応するからね。だから、警察を巻き込んだせいで、状況はますます悪化したと思う。 ノエ:一方的に学生が暴力をふるっているように見えるとしたら、それってすごく“日本的な視点”じゃないかな。つまり、警察がそこにいたら、何か問題があったに違いないという日本的な考え方だよ。日本はどこよりも平和な国で、警官に殺されるとか、ひどく傷つけられる可能性が少ないよね。そういう個人的な経験もないし、怖さを理解することが難しいと思う。 世界中で警官が違法な力を行使し、理不尽な強制をされることがある。アメリカはそれが特にひどい。特にここ数年、警官の不法行為にはかなりスポットが当たっている。だから学生たちも、あまりいい反応をしていないのかもね。 2020年の「ブラック・ライブズ・マター運動」のきっかけになった、警官によるジョージ・フロイド殺人事件。あれ以来、警察の評判は悪くなったままです。特にマイノリティのなかには、警官を見るだけで怖いと言う人も少なくありません。 日本とアメリカでは警察に対する心象が大きく異なります。「警察が来ただけで学生側に非があると思ってほしくない。そして、メディアも暴力発生の場面だけでなく、活動の目的をきちんと伝えてほしい。彼らはそう強く願っています」とZ世代評論家のシェリーは声を大にします。