創立100周年に熱狂したシント=トロイデン。小さな町のクラブはいかにして変化を遂げたのか、なぜ日本人は愛されるのか【ベルギー発】
「すべての日本人選手が正しいメンタリティを持っています」
近くに手作りの応援ジャケットを着る男性が家族とビールを飲んでいた。 「STVVはまさに私の人生。もう35年も応援しているんです。このクラブは私のDNAです。今日は父、母、娘と一緒に来ました」(フロール) ――この35年でSTVVのスタジアムはすっかり変わりました。 「簡単に比較はできません。今は大きなスタジアムになり、すべて椅子席で快適に観戦できます。昔はお互いひしめき合って、立って試合を観ていました。雨に濡れてね。昔は良かった。だけど今も良い」(フロール) ――今日は100周年記念のイベントです。 「人生で一度きりのこと。200周年に私の姿はありません」(フロール) ――私もです。 「ここにいる全員、200周年を祝うことはできません。だから100周年の場に居合わせるということはとても貴重な瞬間なんです」(フロール) ――好きな選手は? 「うちには今、何人かローカルの選手がいます。そのなかでもマッテ・スメッツ! 彼は19歳。今度の夏、ステップアップするでしょう」(フロール) ――それは間違いない。 「私は日本人選手も好きですよ。橋岡大樹は冬、ルートンに去っていきました。彼は正しいメンタリティの持ち主。開始1分から95分まで闘い続けるファイターです。彼だけじゃないですよ。すべての日本人選手が正しいメンタリティを持っています。鈴木彩艶、藤田譲瑠チマは素晴らしい。あと1年、STVVに残ってプレーしてほしい」(フロール) ――最高の思い出は? 「2002−03シーズン、STVVはベルギーカップ・ファイナルを戦ったんです。残念ながら私たちはラ・ルビエールに負けてしまいました。しかし、それは美しい思い出です。ブリュッセルのビッグ・スタジアム。そこに2万人の市民が詰めかけたんです。300台のバスでね。もちろん自分の車で駆けつけたファンもいました」(フロール) バウデワイン・スタディオンに行けない市民は、町の中心に集まってビッグスクリーンで試合を観ながら応援したという。
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