職場が近いので「自宅」で昼休憩を取っていますが、上司に「社内で休んで」と言われました。休憩中の“外出”はNGなのでしょうか?
職場が自宅の近くにあると、昼休憩に自宅に帰ってリラックスしたくなることがあるかもしれません。ゆっくり食事をしたり、少し昼寝をしたりして、午後の仕事に備えたいと考えるのは自然なことではないでしょうか。 しかし、上司から「自宅ではなく社内で休憩を取って」と注意されるケースもあるようです。基本的に休憩時間は自由に過ごせるはずですが、実際にはどうなのでしょうか? 本記事では法律上の休憩時間の定義や、外出制限の是非について解説します。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
労働基準法における休憩時間
労働基準法第34条において、休憩時間は「労働時間が8時間を超える場合は労働時間の途中に少なくとも1時間の休憩を与えなければならない」と定められています。 休憩時間は、労働者が労働から解放されることが保証されていなければなりません。また、労働基準法において休憩時間は「自由に利用できる時間」とされているため、休憩時間をどのように過ごすかは基本的に労働者の自由です。どこで何をするかについて、会社が労働者に干渉することはできません。
休憩時間に制約が設けられる場合も
休憩時間は自由に過ごしていいとはいえ、一定の制限をかけることが認められるケースもあります。 厚生労働省の行政解釈上でも、「休憩時間の利用について、事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を害さない限り差し支えない」としています。 例えば、休憩時間に会社の制服を着たままパチンコをすると、会社の信頼やイメージを損なう可能性があります。お酒を飲むと休憩後の業務に支障を来すこともあるでしょう。 会社の規律や風紀を守るために、「制服のまま外出しない」など、休憩時間の行動を規制することは可能ということです。
「一切の外出禁止」は行き過ぎの可能性も
一方、「会社以外の場所で休んではいけない」というように休憩時間の外出を会社から完全に禁止されている場合、法律に反する可能性があります。 会社内に自由に休憩できるスペースが確保されている場合は、外出を許可制にするなど一定の制限をかけても違法にはならないとされています。ただし、厚生労働省の見解では、休憩時間の定義上、許可制よりも届け出制にするのが妥当だとされています。 つまり会社に必要な届け出をすれば、会社の外で休むことは基本的に認められるということです。一切の外出を禁じることは、法律から考えても完全に行き過ぎの制限だといえるでしょう。